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遠東のそごう経営権、喪失の危機


ニュース 商業・サービス 作成日:2012年5月7日_記事番号:T00036947

遠東のそごう経営権、喪失の危機

 太平洋崇光百貨(太平洋そごう)の経営権争いをめぐり、経済部商業司は4日、そごうに78.6%を出資する筆頭株主、太平洋流通投資側の臨時管理人3人が申請した董事・監事改選のための臨時株主総会の開催を、8月4日までの期限付きで認める決定を行った。3人はそごうを実質的に経営する遠東集団(ファーイースタン・グループ)の董事・監事を追い出す意向を明確にしており、遠東集団は3カ月以内にそごうの経営権を失う公算が高まった。5日付工商時報などが報じた。

 臨時管理人は会社法で董事会が職権を果たせない場合に選任され、裁判所によって承認を受ける。太平洋流通によって臨時管理人に指名された王弓・中国科技大教授、陳栄伝・台北大学教授、勤敏聯合会計師事務所の簡敏秋会計士の3人は今年3月、臨時株主総会の開催を経済部に申請していた。

 葉雲龍・経済部司長は4日、会社法の規定や裁判所の判断、太平洋流通、遠東百貨(ファーイースタン・デパートメントストアズ)など関係者の意見を聴取した上で、会議での多数意見を総合して、臨時株主総会の開催許可を決めたと説明した。理由について、太平洋流通がそごうの78.6%の株式を所有しており、会社法に照らして株主総会を招集する株主としての資格が適切であることを挙げた。

 経済部の決定に対し臨時管理人3人は7日付工商時報などに、感謝の意を示す半面広告を掲載した。


臨時管理人3人は意見広告で、「経済秩序を守り法規に従って行政を行う」姿勢に敬服すると表明した(7日=YSN)

 3人はその中で、「個別の財閥や政商による(そごうの)占拠を許さない」として、遠東集団を経営から排除する意向を明確にした。遠東から派遣されている黄晴雯・そごう董事長らがターゲットになる可能性は極めて高い。

遠東、遺憾・抗議を表明

 一方、遠東集団は、臨時管理人3人の選定に対する抗告の審理がまだ終了していない段階で経済部が開催認可を下したことに対し、遺憾と厳正な抗議の意を示した。臨時株主総会の申請理由は法定要件に合致せず、開催許可は遠東集団および幅広い株主に対し重大かつ回復困難な損害を与えると指摘した。遠東側の弁護士団は7日にも法的措置を取ると表明した。

 遠東集団は2002年、太平洋流通の増資に40億台湾元(約110億円)を出資する形で、太平洋建設から太平洋そごうの経営権を強引に取得。しかし、遠東集団による経営権取得は不当だとする裁判で、当時の董事会や臨時株主総会の議事録が虚偽だとの判断が示され、10年2月に増資登記が取り消された。その後、高裁が遠東集団による増資は合法だとする逆転判断を示し、李恒隆元董事長と遠東集団がそれぞれ太平洋流通の董事・監事を選任し、経営権をめぐって争いが続いてきた。 

【表】