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元太が無給休暇、アマゾンの在庫調整で


ニュース 電子 作成日:2012年5月9日_記事番号:T00037001

元太が無給休暇、アマゾンの在庫調整で

 電子ペーパー大手、元太科技工業(イーインクホールディングス)が5~6月に月2日の無給休暇を実施する。元太の昨年連結売上高、利益を過去最高に押し上げたアマゾン・ドット・コムの電子ブックリーダーが在庫調整に入った結果、設備稼働率が低迷し赤字に陥ったためだ。アマゾンがアップル「iPad」に対抗すべく、タブレット型パソコン「キンドル・ファイア」に注力したことによって絶好調から絶不調へと転落した。9日付工商時報が報じた。

 元太は5~6月に月2日の無給休暇を実施するのは台湾の従業員のみで、影響は200人余りと説明した。同社広報は、黒字のときは自社株現物支給(分紅)で従業員に還元しており、今回の赤字も支出を抑えるために従業員と痛みを分け合いたいと語った。即日より処長以上の幹部に対し10~20%の減給も行う。

 行政院国家科学委員会(国科会)の賀陳弘副主任委員は、新竹科学工業園区(竹科)、中部科学工業園区(中科)、南部科学工業園区(南科)の3大科学園区の進出企業の無給休暇は最近明らかに減少しており、2月は900人余りだったが、4月末時点では1社のみ、300人まで縮小したと指摘した。こうした中、元太の無給休暇は台湾のハイテク業界に驚きをもたらした。

アマゾンに翻弄される

 元太は売上高構成比の7割以上を占める電子ペーパーの最大顧客、アマゾンの電子ブックリーダー、「キンドル」の北米での販売好調によって、昨年は連結売上高384億台湾元(約1,050億円)、粗利益率31.3%、純利益65億2,700万元と過去最高の業績を達成した。

 ところがアマゾンが昨年9月末に発表した199米ドルの低価格タブレットPC「キンドル・ファイア」が「キンドル」以上に好評で、元太の連結売上高は昨年10月(53億2,900万元)をピークに一転、アマゾンが発注の大幅カットを行った11月は35億6,600万元まで落ち込み、今年に入ってからは月13億元前後で推移している。

 今年第1四半期の連結売上高は38億4,000万元で前期比63%減。昨年売上高の1カ月分にも満たない。設備稼働率が低迷し、粗利益率はマイナス0.8%に転じた。営業損失8億3,500万元、純損失8億3,800万元を計上した。

 4月連結売上高は前月比3.16%減、前年同月比47.06%減の13億500万元。1~4月累計は51億4,200万元で前年同期比59%減だ。

下半期には自信

 元太は、上半期は非需要期のため労働時間短縮で支出を削減するがこれは短期的な措置だと強調。下半期に需要が回復し、出荷が通常水準に戻れば、労働時間短縮を取りやめると表明した。

 劉思誠董事長は、大口顧客の今年の出荷は昨年と同水準と予測していると語った。現在は在庫調整の段階だが、新製品の発売に伴い、出荷も増えるとの見方だ。

【図】