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花蓮で観光バスががけに転落、運転手は無免許


ニュース 社会 作成日:2012年5月10日_記事番号:T00037005

花蓮で観光バスががけに転落、運転手は無免許

 花蓮県で9日、韓国人ツアー客を乗せた観光バスがタロコ渓谷に向かって走行中、海側のがけに転落する事故が発生し、運転手とガイドを含む計15人が重軽傷を負った。なお、この運転手は観光バスの運転に必要な免許を取得していなかったことが発覚。しかも雇用主のバス運営会社は、無免許を知りながら人手不足を理由に黙認していたことを認めた。


転落の模様は市民によって撮影されていた。がけの下に木がなければ30メートル下の渓流まで転落し、大惨事になるところだった(9日=中央社)

 事故が起きたのはタロコ渓谷入り口付近の錦文橋にさしかかった地点で、急な坂道にバスが失速。運転手によると、ギアチェンジをしようとしたところ、誤ってエンジンが止まってしまった。しかし、ブレーキが効かずバスはそのままバックし、縁石を乗り越えて高さ8メートルのがけから転落した。

 警察調べによると、このバスは昨年末に安全検査に合格しており、車両に不備はなかったと考えられ、問題は運転手にあった可能性が高い。しかもこの運転手は少なくとも半年以上にわたり無免許運転を続けており、今回は幸い死者を出さずに済んだが、黙認を続けてきた会社には厳しい責任が問われることになりそうだ。

 事故の背景にあるのは深刻な人手不足だ。現在、観光客の急激な増加を受け、台湾では観光バスの運転手が約2,000人不足していると言われる。特に花蓮には中国人を筆頭に、台湾内外から1日3,000~4,000人の観光客が訪れているが、慢性的な運転手不足で大型トラックの運転手を雇っているケースが珍しくないという。

 台湾の規定では、大型旅客車の運転免許を取得した後、学校の送迎バスなどで3年以上の経験を経た後、観光バスの運転が可能になる。観光客増加を受けた景気振興のため、業界からは規定の緩和を求める声もあるようだが、ことは人命にかかわる。日本でもゴールデンウィーク中に群馬県藤岡市の関越自動車道で、7人が死亡するバス事故が起きたばかり。安全面での対策は最優先で講じてもらいたいところだ。