ニュース 電子 作成日:2012年5月11日_記事番号:T00037054
鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘董事長は10日、中国本部ビル(上海市)のくわ入れ式で、中国事業が輸出中心から内需照準にかじを切る象徴だと表明した。これまで試みたインターネット販売サイト「飛虎楽購」や売り場「万馬奔騰」による中国販売戦略の失敗を認め、新しい電子商取引モデルの導入で再出発を図ると表明。部品調達から最終製品の製造、物流、販売までの一貫サービスで、2年以内に結果を出すと意欲を示した。11日付工商時報などが報じた。

郭台銘・鴻海集団董事長(前左3)は、初めて上海を訪れた1988年から自社ビルを持つのが夢だったと語った(10日=中央社)
鴻海の中国本部ビルは、上海市浦東新区の金融街、陸家嘴金融貿易区に地上21階、地下4階建て、建築面積8万平方メートルで建設し、2015年に完成予定。サービス、研究開発(R&D)に専念する予定だ。郭董事長は、世界各地に工場を建ててきたが本部ビルは初めてで、新しいビジネスモデルの試験導入の場とすると語った。これまでの製造、技術中心から商業分野に手を広げ、膨大な中国商機を狙う意味がある。
マッコーリーキャピタル証券台湾区研究部の張博淇主管(チーフアナリスト)は、鴻海が既にこの数年間、▽大都市の家電量販店、万得城電器(メディア・マクルト)▽3C(コンピュータ、通信、家電)製品販売店、賽博数碼広場(サイバーマート)▽部品販売店、敢創数碼▽離職社員が運営する地方の販売店、万馬奔騰▽ネット販売サイト、飛虎楽購──の5つの方法で中国販売に挑戦したものの、成功したとは言えないと指摘した。それでも鴻海が販路拡大にこだわるのは、▽受託生産する顧客の製品を販売すること▽消費者のニーズをいち早く察し、顧客が求める前に対応すること──のほか、「顧客の顧客」になることで受託生産の価格交渉や受注獲得に有利に働くと見込んでいるためと分析した。

中国で台湾最低賃金以上を
郭董事長は同日、今年末にも中国の従業員の給与水準を台湾の最低賃金以上まで引き上げることも表明した。現行の台湾の最低賃金、月額1万8,780台湾元(約5万1,000円)を基に計算すると、4,000人民元以上となる計算だ。中国の従業員は100万人以上に上る。しかし郭董事長は、従業員の待遇を改善すれば消費促進にもつながると強調。中国の賃金が2倍、3倍に増え、米国と同水準になっても中国でハイレベルな生産を続けると語った。
アップル製品を受託生産する鴻海の中国工場は、労働者から搾取していると米国メディアにたたかれている。郭董事長は、2月中旬から基本給を16~25%引き上げた上、残業時間を減らすために数万人を採用することで3月末にアップルと合意したなど、「搾取工場」の汚名返上の説明に1時間半以上を費やした。今後5~7年でロボット100万台を導入する予定で、これも従業者の待遇改善につながるとも語った。
日本100社以上、提携持ちかけ
郭董事長はまた、日本がモノづくりを手放すことはなく、鴻海と提携して中国で作れば成功すると述べた。過去2カ月間に6回訪日し、合計1カ月の滞在中に、日本企業100社以上が提携を持ちかけてきたという。一方で、鴻海が10%出資し筆頭株主となるシャープに関し、出資比率をもっと引き上げたいが同意が得られていないと漏らした。
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