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国光石化、マレーシア投資が濃厚に


ニュース 石油・化学 作成日:2012年5月14日_記事番号:T00037080

国光石化、マレーシア投資が濃厚に

  マレーシアのナジブ・ラザク首相が13日、台湾の石油化学メーカーとの1,200億米ドルの投資計画を宣言した。台湾中油(CPC)は同日、傘下の国光石化科技(KPTC)が現地政府と投資を協議中で、経済部などの認可が下りれば実行すると認めた。台湾投資が環境問題で見送られた国光石化計画は、7年の紆余曲折を経て実現への道筋が見えてきた。一方、川下10社以上も同時進出し、台湾に生産額4,200億台湾元(約1兆1,000億円)の打撃が出るとの懸念も浮上している。14日付経済日報などが報じた。

 ナジブ首相は記者会見で、台湾の石化1社が同国ジョホール州プングランでの巨額投資に同意しており、マレーシアの国営石油会社ペトロナスによる製油所などコンビナート計画に加わると述べた。投資する会社については明らかにしなかった。

 これについて中油は、マレーシアへの投資意欲があり、実現可能性を分析、研究している最中だと表明した。投資額は100億~120億米ドル。ただ、最終的には経済部など主管機関の認可を得られるかだと強調した。

 国光石化は経済部の国営事業、CPCが出資比率43%の筆頭株主で、残りは民間株主の▽遠東集団(ファーイースタン・グループ)と長春集団(CCPG)、各20%▽中国人造繊維(CMFC)、10%▽富邦金融控股、4%▽和桐化学、3%──が出資している。

13年半ばにも確定

 ナジブ首相によると、コンビナートの中心には当初日産15万バレルの石油精製工場と年産80万トンのナフサ分解プラントを据える。軌道に乗れば、精製工場は日産45万バレル、ナフサ分解プラントは年産380万トンに引き上げる。

 順調に行けば6年間で1,200億米ドルの投資を呼び込み、マレーシアはアジア・太平洋地域で石化の重要拠点になる見通しだ。ペトロナスは現在、世界9~10社と交渉を行っているが、台湾メーカーとの協議は最終段階に来ており、来年半ばに決定する見込みだ。

川下10社以上も移転か

 国光石化は2005年に国家重大計画に指定され、離島工業区(雲林県麦寮郷)に石化プラントを建設する構想だったが、環境影響評価(環境アセスメント)が通らず08年に彰化県に変更された。それでも環境問題で進展せず、馬英九総統が11年4月に不支持宣言を出し、台湾投資が断念された経緯がある。

 一方、CPCが高雄市の製油所を2年以内に移転する準備を進めている上、川下に当たる中国石油化学工業開発(CPDC、中石化)など石化10社以上は高雄市の大社工業区にある工場を7年以内に移転するよう政府に求められているが、いまだ候補地が見つかっていない。こうした事情から、CPCとともに川下メーカーもマレーシアに活路を見出す可能性があると業界関係者は指摘した。外資系の証券会社は、そうなった場合は台湾の石化産業の空洞化を招くと懸念を示した。

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