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見事な親切の連携、出港後の日本人客に財布戻る


ニュース 社会 作成日:2012年5月15日_記事番号:T00037082

見事な親切の連携、出港後の日本人客に財布戻る

 財布を落としたらまず返って来ないことが普通の今の時代、まして海外ではなおさらだが、先週花蓮を訪れた日本人観光客がタクシーに忘れた財布が、運転手や花蓮港職員らの見事な連携プレーによって、持ち主を乗せて既に出港したクルーズ船まで無事に届けられるという出来事があった。

 11日、タクシー運転手の曽世誠さんは、クルーズ船「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」で到着した日本人観光客4人を乗せ、花蓮港から太魯閣峡谷(タロコ渓谷)などの観光地を巡った。日本人観光客は70歳くらいで、簡単な日本語で会話をした。観光を済ませ花蓮港に送り届けたのは午後3時、曽さんはこの後帰宅した。午後4時に再びタクシーに乗り込んだところ、後部座席に財布が置かれているのを見つけた。開いてみると現金7,000台湾元とクレジットカードが入っている。曽さんは先ほど乗せた日本人観光客が支払いの際に持っていた財布だと気付いた。「急げばまだ間に合うかもしれない!」と、花蓮港へ車を飛ばした。

 約15キロ離れた花蓮港へは、10分ほどで到着した。しかし、間に合ったと思ったのもつかの間、クルーズ船はゆっくりと港の23埠頭(ふとう)を離れていってしまったのだ。

 曽さんが港の職員にこの件を話したところ、職員は急いでタグボートに無線で連絡した。「タグボートで財布をクルーズ船に届けてほしいので、近くの25埠頭に向かうように」と。

 そして、曽さんは職員を乗せて25埠頭へ急行し、財布をタグボートの乗組員に渡し、乗組員はタグボートですぐさまクルーズ船を追いかけた。同様に知らせを受けて速度を落としていたクルーズ船に無事に追い付き、財布を届けることに成功した。クルーズ船は感謝を込めた汽笛を鳴らし、横浜港へと向かったのだった。

 曽さんは、日本人観光客は自分の父母と同じ年代で、財布をなくしたならば花蓮に悪い印象が残ってしまうので、持ち主に返さなければという気持ちでいっぱいだったと語った。

 持ち主の日本人観光客は、まさか出港した船まで財布が届けられるとは思ってもみなかったろう。台湾人のあふれる人情という素晴らしい思い出を胸に帰国したのではないだろうか。