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日中韓FTAに危機感、対日提携を強化


ニュース その他分野 作成日:2012年5月16日_記事番号:T00037134

日中韓FTAに危機感、対日提携を強化

  蕭万長副総統は15日、日台の産業提携のための総合プラットフォームを早急に構築するよう提言した。日中韓が自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉の年内開始で合意したことを受け、中台間の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)による優位性が残っている間に日台提携を加速し、日台中の産業統合を推進しなければ、2年後には日中韓FTA締結で大きなダメージを受けると警告した。16日付工商時報などが報じた。


蕭副総統は退任後、日本企業の台湾投資を促進するために訪日する考えもあるようだ(15日=中央社)

 蕭副総統は商工団体「三三会」の例会でのスピーチで、日台提携は今がチャンスで、現状では政府や民間の機関がバラバラに提携を推進しており、総合的なプラットフォームが存在しないと必要性を訴えた。

 特にライバルの韓国が、欧州連合(EU)との間で昨年7月に、米国と今年3月にFTAを発効させており、2年後にも日中韓FTAが締結されれば、台湾に非常に大きな打撃となると警告した。

 一方で、日台中の産業統合によって黄金の三角形を形成できれば、台湾の中小企業は救われ、日中韓FTA締結によるダメージも緩和すると語った。

蕭副総統、事務所設立も

 経済日報によると、蕭副総統は日台産業提携の推進役に意欲的で、日本の対台湾窓口機関、交流協会の今井正・前台北事務所長や日本工商会からも良好な反応が得られている。

 蕭副総統は馬英九政権が2期目に入る5月20日に退任し、その後は個人事務所を立ち上げて、日台の産業交流促進に注力する見通しだ。蕭副総統に近い人物によると、ここでいう総合プラットフォームでは、蔡清彦・工業技術研究院(工研院)董事長が初代理事長を務める台日産業技術合作促進会が重要な役割を果たす。

日台商談会、2億ドル受注

 同日、日台間の企業商談会「台日企業商機媒合大会」が経済部国際貿易局(国貿局)主催、中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)によって台北国際会議中心で初めて開催され、2億米ドルを超える受注が生まれた。日本46社の調達責任者75人と台湾企業300社近くの間で、1対1の商談会が延べ400回以上繰り広げられた結果だ。

 趙永全TAITRA秘書長によると、日本からの参加企業のうち、年間売上高が10億米ドル以上の大企業は、▽豊田通商、687億米ドル▽神戸物産、184億米ドル▽ミズノ、18億米ドル──など10社に上った。調達項目は電子部品、自動車部品、工作機械、食品、紡織、建材、花卉(かき)など。台湾からは東元集団(TECO)、台湾中油(CPC)、南僑集団などが参加した。

 自動車用変速機大手のジャトコ(本社・静岡県富士市、秦孝之社長)は、これまでの調達は日本製に偏りがちだったが、代替の調達先確保を迫られる中、台湾製は品質が良く価格競争力があるので、末永く付き合いたいパートナーだと表明した。張俊福国貿局副局長は、日本企業は昨年の東日本大震災後、海外展開を拡大しており、台湾は代替生産拠点になり得ると強調した。

 なお、TAITRAによると、日本企業による今年の台湾投資は、過去最高だった昨年の441件を上回り、500件を超える見通しだ。