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HTC主力機種に打撃、米国で輸入留め置きに


ニュース 電子 作成日:2012年5月17日_記事番号:T00037160

HTC主力機種に打撃、米国で輸入留め置きに

 宏達国際電子(HTC)は16日、スマートフォン主力2機種が米国の税関での検査・審査のため、輸入を留め置かれていると発表した。HTCがアップルの特許を侵害していると認めた米国際貿易委員会(ITC)の最終判断に基づくもの。HTCは設計を改良済みで問題ないとしているが、発売の遅れでサムスン電子やアップルの新機種と真っ向からぶつかる懸念がある。17日付工商時報などが報じた。


国で先月「One」シリーズを発表した周永明HTC執行長(中)。北米で早期の栄光奪回は難易度が高く、中国など新興市場拡大が当面の課題といえそうだ(HTCリリースより)

 ITCは昨年12月20日、HTCがアップルの一部特許を侵害しており、該当製品の輸入を今年4月19日から禁じる最終判断を下した。HTCは当時、ユーザーインターフェース(UI)への影響は軽微で、設計変更で問題を回避できると表明していた。経済日報によると、問題の特許は、インターネットサイトで見つけた電話番号をクリックするだけで電話がかけられるデータキャッピング技術に関するもの。

 輸入留め置きとなった米国版「HTC One X」は5月6日に米国2位の通信キャリア、AT&Tから発売されている。発売後4日でアマゾン・ドット・コムのオンライン通販サイトで、携帯電話部門販売ランキング8位に浮上、16日には首位に立ったほどの人気で、品切れとなっている。既に入荷された分の販売は可能だが、4月19日以降の輸入は審査が必要なため、供給不足となることは逃れられない。「HTC EVO 4G LTE」は18日にスプリント・ネクステルから発売予定だった。

 HTCは米国税関の審査がスピーディーに進むよう協力しており、同社の第2四半期売上高目標1,050億台湾元(約2,800億円)、粗利益率27%、営業利益率11%に変更はないと強調した。

出荷延期、1~1.5カ月か

 一方、バークレイズ・キャピタル証券はHTCの出荷が1~1.5カ月遅れ、第2四半期の利益に10%影響が出るとの予測を示した。とりわけ新機種の発売延期によって、サムスンが7月にも米国で発売する「ギャラクシーS3」、アップルが第4四半期にも投入する「iPhone」次世代機種に阻まれ、HTCの販売が伸び悩むと懸念を示した。

 市場調査会社、IHSの張卓浩研究員は、数週間で通常出荷に戻るとみられるが、消費者に製品を予定通り供給できずに通信キャリアの信頼を失うことの方が懸念事項だと指摘した。

 経済日報によると、こうした米国の通関の審査は通常1~2カ月だが、長引いて1年かかったり、輸入が認められないケースもある。弁護士によると、HTCは特許を侵害していないと書面で証明するほか、保証金を担保に先に通関を通して販売し、ITCに審理を委ねる方法もある。

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