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馬政権、波乱含みの2期目スタート


ニュース 政治 作成日:2012年5月21日_記事番号:T00037215

馬政権、波乱含みの2期目スタート

 馬英九総統(61・国民党)は20日、2期目の就任演説で、台湾の国際競争力向上によって住民の幸福を追求する経済発展重視の目標を掲げた。中台関係では「一つの中華民国、二つの地区」と定義する立場を明確にし、中国に対し平和的な関係発展を呼び掛けた一方、平和協定には触れなかった。馬総統は電力料金の大幅値上げなどによって支持率が過去最低に落ち込んでおり、野党陣営が台北市で2日連続で大規模抗議デモを繰り広げる中での波乱含みの2期目スタートとなった。


2期目の就任式典は、世論の反発を考慮してか、1期目のときよりも大幅に規模を縮小して総統府内で行われた(20日=中央社)

 馬総統は引き続き経済発展に力を入れる考えを示し、▽経済成長エネルギーの強化▽雇用機会創出、社会貢献▽低炭素社会▽文化国家▽人材育成──の台湾の競争力強化のための「5本柱」を提示した。

 1期目では最大の貿易相手、中国との海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結に続き、2番目の貿易相手の日本と「日台民間投資取り決め」を取り交わしており、次は3番目の貿易相手、米国との締結を目指すとした。また、環太平洋連携協定(TPP)参加国のシンガポール、ニュージーランドとの自由貿易協定(FTA)交渉を推進し、8年以内にTPPに参加する目標を示した。

 さらに、自由貿易を重視する立場から、高雄市を候補とする「自由経済モデル区」計画を進めるとし、台湾が「自由貿易島」へと発展するために鍵となる一歩との認識も示した。

日本との友好強調

 対日関係では、東日本大震災支援に政府、民間合わせて66億台湾元(約180億円)という世界最高の義援金を寄せたほか、日本人旅行者が忘れた財布をタクシー運転手が届けたエピソードなどに触れ、天然資源を持たない台湾にとって、人材こそが発展の鍵だとつなげた。日本への言及は1期目の就任演説では全くなかったが、今回は過去40年で最も友好的な関係と強調した。

 一方、中台関係については中華民国憲法の枠組みの下、「三不(統一せず、独立せず、武力行使せず)」の現状を維持し、「一つの中国、それぞれの解釈」とする「1992年の共通認識(92共識)」を基礎として、中台の平和的発展を推進すると述べ、従来の立場から踏み込んだ表明はなかった。ただ、ECFA後続協議は加速すると強調した。総統選で論議を呼んだ平和協定については、演説後の記者会見で、切迫性がないため締結は急がないと説明した。

キャピタルゲイン課税、導入確実か

 このほか、国家の発展のためには改革が必要で痛みを伴うと述べ、産業界が反発するキャピタルゲイン課税導入に意欲をうかがわせた。6つの商工団体と10の業界代表は同日、課税導入が議論されただけで資本市場から2兆元が消失し、株式市場が縮小すれば証券取引税が500億~600億元減少すると指摘し、立法院への法案提出を取り下げるよう訴えた。

民進党、内閣不信任案提出へ

 民進党が台北市で行ったデモには15万人(民進党発表。警察発表は5万5,000人)が参加した。電力料金の値上げで生存権が、成長促進剤を含む米産牛肉の輸入で健康が、「一つの中国」で主権が脅かされると訴え、馬総統、陳沖行政院長の辞任を求めた。

 陳菊・民進党代理主席は馬総統の就任演説後に記者会見を開き、陳沖行政院長の政策は誤っているとして、内閣不信任案を提出する考えを示した。