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薄膜太陽電池、事業縮小相次ぐ


ニュース その他製造 作成日:2012年5月22日_記事番号:T00037242

薄膜太陽電池、事業縮小相次ぐ

  大同傘下の緑能科技(グリーン・エナジー・テクノロジー)が薄膜太陽電池工場を閉鎖するとの観測が浮上した。同社は、主力の太陽電池用多結晶シリコンウエハー事業にリソースを集中するだけで、薄膜工場閉鎖の予定はないと否定した。ただ、薄膜太陽電池は値崩れが進む一方、変換効率はシリコン太陽電池の半分以下しかなく、世界最大手、米ファースト・ソーラーが4月に3割の人員をリストラ、宇通光能(オーリア・ソーラー)が経営難に陥るなど、苦戦を強いられている。22日付蘋果日報が報じた。

 緑能の従業員は先週、工場閉鎖に伴い別の部門に異動するよう告げられ、不満なら退職してもよいと言われた内部情報を蘋果日報に暴露した。

 これについて緑能の広報は、薄膜太陽電池工場は設備稼働率が非常に低く、毎月の売上高も月2,000万台湾元(約5,400万円)で同社全体の2%にすぎないため、多結晶シリコンウエハー事業に注力すると説明した。事前に従業員に説明しており、予告なしで工場を閉鎖するわけでも従業員を左遷するわけでもないと強調した。

 そして、薄膜太陽電池事業は、欧米の顧客との長期契約が残っているため従業員約100人のうち30~40人を残し、すぐさま工場を閉鎖する考えはないと強調した。

 一方で、多結晶シリコンウエハー事業は設備稼働率が80~90%に上り、受注は安定していて景気見通しも比較的良いため、今回の調整は雇用確保、会社の永続的発展につながると強調した。

薄膜出荷、太陽電池全体の1割

 薄膜太陽電池メーカーは近年、世界的に不振が伝えられている。調査会社、NPDソーラーバズの統計によると、薄膜太陽電池の世界出荷量は3.3ギガワット(GW)で、太陽電池全体の11.9%を占めるにすぎない。薄膜太陽電池市場でシェア58%(出荷量1.9GW)のファースト・ソーラーさえ赤字に耐えられず、4月中旬に2,000人をリストラした。10月にはドイツ東部、フランクフルト・アン・デア・オーダー工場を閉鎖する予定だ。台湾でも財政難が明るみに出たオーリアがこのほど、政府に債務整理交渉への支援を要請し認められたところだ。

 業界関係者によると、薄膜太陽電池モジュールの先週のスポット価格は1W当たり0.73米ドルで、シリコンの0.83米ドルと大差ないが、変換効率は薄膜7~8%に対し、シリコンが17.6%に上る。一部の特定市場向けを除けば、価格でも変換効率でも薄膜太陽電池に勝ち目はない状況だ。

【図】