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台塑化15%減産、「需要悪化の一途」


ニュース 石油・化学 作成日:2012年5月25日_記事番号:T00037321

台塑化15%減産、「需要悪化の一途」

 台塑集団(台湾プラスチックグループ)傘下、台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)の曹明総経理は24日、同社ナフサ分解プラントの15%減産を明らかにした。台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス、台塑)の李志村董事長も景気悪化に直面し減産せざるを得ないと表明した。証券会社によると、川下の汎用樹脂や化繊原料メーカーが軒並み減産に追い込まれており、台プラグループ主要4社は今月2けた減収に見舞われる恐れがある。25日付経済日報が報じた。

 曹総経理は、石油化学業界は現在、需給バランスを失っている状態だと指摘した。原油価格の下落で、ナフサのほか、エチレン、プロピレン、ブタジエンなど基礎原料の相場も軒並み下落し、一部製品しか利益が出ないと減産の理由を説明した。

 台プラグループの幹部は、当初は第2四半期からの需要回復を予想していたが、実際は悪化する一方だったと語った。高価格原料を使用した製品が積み上がる事態を避けるため、在庫水準を最低にまで引き下げなければならないと4月に気付いたものの、もう手遅れだったという。

 23日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)で期近の7月物が1バレル89.90米ドルで取引を終え、昨年10月21日以来の最低を更新した。24日は同90.66米ドルに反発したが、今年のピーク2月24日の同110.76米ドルと比べると18%の下落だ。

川下が軒並み減産

 証券会社によると、台塑はポリエチレン(PE)で利益が出ず、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)価格も相次いで下落する厳しい状況に陥っている。

 南亜塑膠工業(南亜プラスチックス)は、化繊原料のエチレングリコール(EG)プラントが操業を停止しての大規模補修中で、5月のEG輸出は10万トンにとどまる見通しだ。中国でのポリエステル需要の急低下や、世界経済の先行き不透明感による電子材料の需要減も追い打ちとなっている。

 台プラグループ主要4社のほか、川下メーカーの▽台湾聚合化学品(USI)▽亜洲聚合(アジア・ポリマー)▽中国石油化学工業開発(CPDC、中石化)▽力鵬企業(LP)▽集盛実業▽奇美実業▽国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル)──が市況悪化で減産に踏み切った。各社の5月売上高は大きく落ち込みそうだ。

定例の賃上げ、「3%は不可能」

 台プラグループは毎年7月1日に実施している賃上げ幅を2~2.5%に抑える方針を固めた。過去3年で最も低い水準だ。

 李・台塑董事長は、従業員の給与を(例年のように)3%以上引き上げることは不可能だと述べた。世界で需要が冷え込み、消費者がお金を使いたがらないのは石化製品に限らずあらゆる製品で言えることだと語った。

 王文淵・台プラグループ総裁は、需要も景気も悪く、いつ回復するかは分からないと述べた。

【図】