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韓国が先進国入り、台湾は置き去り


ニュース その他分野 作成日:2012年5月29日_記事番号:T00037374

韓国が先進国入り、台湾は置き去り

 台湾が長年ライバル視してきた韓国は、6月にも人口5,000万人を突破し、国内総生産(GDP)1人当たり2万米ドル以上を同時に満たす世界7番目の国となる見通しだ。アジア通貨危機(1997年)以後、産業構造の再編を経て、ブランド強化、新興市場開拓、貿易自由化を進めた韓国は今や日本に挑む立場に浮上、台湾に明らかな差を付けた。行政院経済建設委員会(経建会)の尹啓銘主任委員は28日、台湾の目下の課題は独自の優位性を生かした国際競争力向上で、もはや韓国と同じレースに挑む必要はないと発言した。29日付聯合報などが報じた。

 朝鮮日報の報道によると、韓国が人口5,000万人、1人当たりGDP2万米ドル以上の「20−50クラブ」入りを果たすのは日本(87年)、米国(88年)、フランス(90年)、イタリア(90年)、ドイツ(91年)に続く、96年の英国以来。同紙は、韓国の正式な先進国入りを意味し、同条件を満たした6カ国はドイツが90年に東西統一で1人当たりGDP2万米ドルを一時割り込んだ以外は、その後も安定成長が続いていると指摘した。

 韓国の1人当たりGDPは04年に台湾を抜いた後、リードを広げ、国際通貨基金(IMF)の予測では16年に3万米ドルを突破する見通しだ。

世界GDPの61%が「経済領土」

 台湾と韓国は戦後、反共を掲げる権威主義体制の下、高度経済成長とその後の民主化をほぼ同時期に達成した。現在も電子産業で世界をリードし、石油化学や機械などで競合関係にあるため、台湾は長年にわたり韓国をライバル視してきたが、この10年で韓国の優位は明確になった。

 韓国は最近、自由貿易協定(FTA)を、海外市場獲得および市場開放を通じた自国の競争力強化の手段として重視しており、昨年から今年にかけて欧州、米国とのFTAを相次いで発効させた。韓国では、これにより世界のGDPの61%を占める国・地域が「経済領土」になったとしている。一方台湾は、経済発展に大きく貢献するFTAは事実上中国との海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)のみで、これも韓国が狙い通り2年以内に中韓FTAを締結すれば追い付かれてしまう。台湾は国際社会で国家として扱われておらず、FTA推進も中国の圧力の有無が関係するため不利だ。

戦略の差で明暗

 こうした状況の下、台湾の目指すべき方向について台湾経済研究院(台経院)の楊家彦・研究六所所長は、最近の台湾と韓国は発展分野が異なるため、台湾の強みに目を向けて差別化を図ることが競争力確保につながるとの見解を表明した。また、韓国は財閥の大企業が強いが、台湾は中小企業が多いため小回りが効き、カバーする範囲も広いという優位性があると指摘し、一例として自転車産業を挙げた。さらに「韓国が台湾をライバル視したことは一度もない」と述べ、台湾は何かにつけて韓国と比べる必要はないと強調した。

 台経院は以前発表した輸出競争力に関するレポートでも、02年以降、台湾は中国に生産拠点を移すことで成長を追求したのに対し、韓国はブランドに注力して新興市場を開拓してきたと指摘し、異なる輸出戦略が現状を招いたと分析していた。

【図】