ニュース その他分野 作成日:2012年6月4日_記事番号:T00037484
中国で働く台湾人は50万人以上と言われ、その4割以上が高収入で将来性を感じている一方、家族との別居や生涯設計が描けないことへの不安を抱えていることが行政院労工委員会(労委会)の委託機関による調査で分かった。中国では労働保険や健康保険への加入が徹底されておらず、台湾でも社会保険から漏れ落ちる問題もある。台湾全体では、内需縮小、人材流出による競争力低下も課題だ。4日付蘋果日報が報じた。
労委会は台湾大学国家発展研究所に委託し、世界貿易機関(WTO)への加盟直前の2001年から10年間の台湾人の中国派遣についての調査を初めてまとめた。近く立法院に提出される。これによると、中国で雇用されている台湾籍人材は少なくとも50万人、広義なら100万人以上に達する。
本音は「台湾に戻りたい」
中国で働く100人を対象にしたインタビューで、46%が高賃金、53%が将来性があると回答した一方、67%が「家族と中台で離れて暮らすのは困る」、46%は「人生設計が立てられない、台湾に戻れるか分からない」と答えた。このため政府に対し、台湾求人情報の提供や、台湾に異動できるよう企業の制度作りなどを支援してほしいと望んでいる。
蘋果日報の取材によると、中国のインターネット関連企業で営運長(COO)を2年務める40代男性は、年収700万台湾元(約1,800万円)で自社株支給や住宅手当もあるが、健康保険に加入できておらず、税負担も重いと語った。自動車部品会社で総経理を務める陳さんは、台湾では13年間昇給がなかったが、中国に来て毎年賃金が増えるとメリットを挙げたものの、滞在が15年に上り、家族を台湾に捨てたようなものだと自嘲気味に話した。
待遇は縮小傾向
こうした不安を打ち消すために対策を取る企業も少なくない。セメント業界最大手、台湾水泥(台湾セメント)は、中国駐在の台湾人幹部を50人以下にまで減らし、原則任期3年で台湾に戻れるよう配慮している。情報通信機器販売大手、神脳国際(セナオ・インターナショナル)は、四半期に1回は一時帰台できるようにしている。一方、パソコン大手、華碩電脳(ASUS)は、中国の多くの都市で生活水準が向上し、就業機会も増えたので、中国駐在員に対する給与引き上げ幅は10年前ほど高くないと指摘した。
人材会社の統計によると、5年以上の就業経験がある台湾人幹部の中国での待遇は台湾の1.5倍で、年収は150万~200万元ほど。引っ張りだこの液晶パネル、発光ダイオード(LED)メーカー主管ならば4.5倍以上もあり得るという。
高学歴者・女性が増加
また、労委会の報告書では、中国が08年から5~10年間で2,000人以上の人材を国家重点産業などに誘致する「千人計画」を推進していることも、台湾の中央研究院(中研院)在職者、大学卒業者などの人材流出につながり、国際競争力を押し下げる懸念要因として指摘した。
台湾人の中国就業は、01年には大卒が17.1%、修士が2.37%だったが、10年には大卒29.83%、修士8.24%まで増えた。年齢別では15~29歳が16.2%から9.7%に減り、45歳以上が33.3%から41.46%に増えた。業種別では製造、卸売・小売、ホテル飲食が中心で変わりはないが、規制緩和が進む金融関係が増えている。
また、女性が10.9%から14.42%に増えたのも特徴的だ。人材会社、キャリア就業情報は、以前は生産ラインの管理職が多かったが、最近は金融、家電販売店など内需をターゲットとした企業の中国進出が進み、女性に適した職種が増えてきたためと分析。独身女性が増え、中国で結婚して定住するケースもあると指摘した。
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