「2015年に一家に1台ロボットを」。13日閉幕した全国工業発展会議で、知能ロボット産業で世界3位以内の技術強国となる目標が、産学官の共通認識として確認された。各界の協力で台湾のロボット産業界を世界の設計・研究開発(R&D)センターとして発展させ、15年の生産額2,500億台湾元(約8,520億円)、世界シェア6.7%を実現し、同産業に注力する韓国に対抗する。14日付工商時報などが報じた。
台湾機器人産業発展協会を務める卓永財上銀科技(ハイウィン)董事長によると、台湾の工業用ロボット産業には一定の基礎がある。当面は、▽医療用補助ロボット▽障害者用ロボット▽ゲーム用ロボット──の商機が高いと考えられるため、政府はR&D費用の支援を拡大し、これらの分野の発展を奨励すべきと提案した。
同協会は来年8月に台湾初となるロボット展示会を開催する。研究機関や企業、同分野の研究を行っている学生などを招いて業界発展の気運を盛り上げていく。
韓国は05年12月、知能ロボット産業を半導体やパネルに続く今後の核心産業と位置づけ、13年に総生産額30兆ウォン(約3兆6,000億円)で世界シェア15%、輸出額200億米ドル産業に育成する目標を打ち出し、政府が集中的な支援を行っている。
08~10年の段階では「補助ロボット」を発展させ、11~13年は「同伴者ロボット」、15年の段階で「一家に1台のロボットがある時代」の実現を目標としており、今回経済部が打ち出したロボット産業発展は、韓国に倣った印象を受けなくもない。 経済部は今後、産業チェーン形成の促進や海外販路の開拓など、業界の発展に向けてさまざまな協力を行っていく方針だ。
太陽エネルギー、原料確保を提言
全国工業発展会議では、ロボット産業のほか、太陽エネルギーや、バイオ新薬などの産業を発展させることも確認された。
このうち、太陽エネルギー産業発展戦略の分科会では、同産業を国家レベルの戦略産業と位置付ける中国が、原料のシリコンウエハーの輸出を抑えるため、輸出税の還付率を10%から4%に引き下げることや、用地や補助金などさまざまな優遇措置で同分野の外資誘致に力を入れている事例が報告された。
各業者からは、台湾は有力な半導体産業を抱え、太陽エネルギー電池技術では中国を大幅にリードしているものの、原料の確保がままならなければ技術は無用の長物になって産業の発展はないとして、政府が20年以上の長期の原料確保契約を結ぶべきという提言が行われた。
経済部の統計によると、台湾の太陽エネルギー産業の生産額は今年400億元、世界ランキングも5位から4位に上昇し、15年には1兆元産業となる見通しだ。
バイオ新薬、「R&Dコストの資産計上を」
バイオ新薬産業発展戦略の分科会では、7月に施工されたバイオ新薬産業発展条例に基づく業界発展戦略について協議した。
分科会では、バイオ新薬のR&Dコストをいかに確保していくかなどが中心議題となった。経済部生物技術医薬工業発展推進グループの陳啓祥主任は、人体に投与する新薬の開発には8~12年の時間と3億~8億米ドルの経費がかかるとした上で、「多額のR&Dコストで開発メーカーは長期的な損失を強いられ、投資家の支持も得にくい」と指摘。解決策として、研究開発コストを資本的支出として資産計上すべきとの考えを示した。
陳主任はまた、現在の臨床試験状況から見て、台湾では10年までにバイオ新薬3種の発売が許可され、業界の売上総額が同年に500億元、15年には2,250億元に達するとの見通しを明らかにした。
GDP20兆元を目標
全国工業発展会議では、全体の共通認識として、台湾産業界を(1)世界のリソース統合者(2)産業技術のリーダー(3)柔軟性のある経済アイデアメーカー──として発展させていくことが確認された。陳昭義経済部工業局長は、域内総生産額(GDP)を昨年の12兆2,000億元から15年段階で20兆元に引き上げ、製造業付加価値率の成長率を20%とする目標を打ち出し、「非常に挑戦しがいのある目標だ」と強調した。