ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

液晶パネル救済、陳行政院長が切迫感


ニュース 電子 作成日:2012年6月15日_記事番号:T00037725

液晶パネル救済、陳行政院長が切迫感

 友達光電(AUO)が先日の株主総会で、2011年度に過去最悪の赤字額614億台湾元(約1,630億円)の計上を発表し、李焜耀董事長が謝罪したことにみられるように、液晶パネル業界の苦境が長引いている。陳冲行政院長は14日、「今後1〜2年が台湾パネル産業にとっての鍵だ」との認識を示し、経済部に立て直しに向けてメーカーに協力するよう指示した。中国企業との資本提携、中国への輸出の際の優遇関税など、中国との協力が頼みの綱となりそうだ。15日付工商時報が報じた。

 陳行政院長が「今後1〜2年」という切迫した見方を示した背景には、8.5世代工場で相次いで生産を開始した京東方科技集団(BOEテクノロジー)や華星光電など中国パネルメーカーの成長により、今後台湾勢の輸出に悪影響が出るとの認識がある。

 経済部国際貿易局によると、台湾液晶パネルメーカーの今年1〜4月の輸出先は中国が8割を占めた。このうちの7割は中国で組み立てられて再度欧米市場に輸出され、残りの3割は中国国内で販売される。ちなみに販売額は前年同期比1割減で、韓国も同様の状況だという。

中国資本の出資を歓迎

 こうした状況の下、台湾政府が「液晶パネル業界をいかに救済するか」を考える場合、中国から協力を得ることが重要となる。

 台湾液晶パネルメーカーにとって現在最も重要なのは資金注入による脆弱な財務体質の強化で、経済部は中国資本による台湾パネルメーカーへの出資を歓迎する立場だ。中台双方が両岸経済合作委員会(経合会)で提携メカニズムを立ち上げ、その後、業者による申請を待つ方針だ。なお、AUOは既に中国メーカーとの間で資本提携の交渉を行っているとされる。

 また、今後交渉が行われる海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)の物品貿易協議おいて、液晶パネルを優遇関税の対象品目に盛り込むよう交渉を進める考えだ。中国は今年4月1日より、台湾など海外から輸入される32インチ以上の液晶パネルに対し、関税を5%に引き上げている。

支援しなければ悪影響甚大

 杜紫軍・経済部次長は先週、政府が液晶パネル産業を支援しなければならない理由を3点挙げた。第一に、同産業は化学材料やガラス、バックライトモジュール、偏光板、携帯電話など多くのサプライチェーンに関係しているため、液晶パネルを放棄した場合、産業全体への影響が甚大なものになる。第二に、パネル産業の人材と経営ノウハウが中国に流出して、台湾が再度同産業に注力しようとしても困難になる事態は避ける必要がある。そして第三に、台湾が撤退した場合は市場が韓国の独壇場になることが予想され、世界のICT(情報通信技術)産業の発展にとって好ましくないとした。

【図】