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工業団地の保険料、水災で大幅上昇


ニュース 金融 作成日:2012年6月20日_記事番号:T00037802

工業団地の保険料、水災で大幅上昇

 先週の豪雨による傷跡が癒えないうちに、台風5号(アジア名・タリム)が接近する中、新竹科学工業園区(竹科)をはじめとする台湾の工業園区は今年、台風や豪雨による洪水などの水災被害を補償する保険料が大幅に上昇する見通しだ。竹科など3大園区に進出する企業は4~6割、台北市の内湖科学園区(内科)や桃園県の亀山工業区などは6~8割上昇が見込まれ、倍増もあり得る。20日付工商時報が報じた。


先週の豪雨被害が深刻だった亀山工業区では、部品がすっかり浸水したメーカーも(中央社)

中小企業に大打撃

 竹科、中部科学工業園区(中科)、南部科学工業園区(南科)の3大園区や彰化県の彰化浜海工業区に進出する企業は、水害を補償する保険の保険料の、平均4~6割上昇が予想されている。

 工場やオフィスが内科にあり、保険金額(保険会社が支払う保険金の限度額)が30億元(約80億円)以上の場合、その保険料は今年、新竹、台中、台南の企業を上回りそうだ。

 損害保険業界の関係者によると、企業向け火災保険付帯の自然災害補償は、6月末までに軒並み保険料率が引き上げられる。保険金額30億~150億元の中小企業に特に影響が大きく、引き上げ幅は少なくとも30~100%に上る見通しだ。関係者は、企業によって保険金額や自己負担額が異なり、所在地や業種によっても上昇幅に大きな差が出ると指摘した。

 ある損保会社は、保険料の負担が大きすぎれば、保険会社に相談して保険金額や自己負担額などの保険契約内容を見直して保険料を抑えられると提言した。損保業界団体、中華民国産物保険商業同業公会(産険公会)は、鉄筋コンクリート造りの建物でも、重要な施設が1階や地下にあれば保険料は高くなると注意を促した。

 自然災害を補償する保険料の大幅上昇は、行政院金融監督管理委員会(金管会)が保険事業発展中心(保発中心)に自然災害の検証と算定料率の設定を求めたこと、および海外の再保険会社が昨年大災害に見舞われた日本、タイ、ニュージーランドなどの料率を大幅に引き上げたことが背景にある。

半導体大手、4~5倍も

 損保会社によると、個別の保険契約の保険金額が150億元以上で、企業グループ全体で同300億元以上の場合、算定料率に従わず、自由に料率を設定することが可能だ。

しかし大手半導体メーカーは、保険料率上昇に加え、新工場の落成や工場拡張で保険をかける対象となる設備が増えていることから、自然災害に関する保険料が前年比4~5倍に膨らむ見通しだ。

 保険契約すべてを合計した保険金額が1,000億元を上回る大口契約者、台湾積体電路製造(TSMC)、聯華電子(UMC)、日月光半導体(ASE)は6月中に相次いで保険契約を更新する。

 UMCは、台湾の保険会社の保険料率が大幅上昇する場合、該当保険契約の大部分を海外大手との契約に切り替えて対応する構えだ。

 ASEの董宏思財務長は、保険料が大幅に上がっても保険をかけないわけにもいかないと悩んでいる。

 一方、矽品精密工業(SPIL)は、契約更改は9月のため、TSMCなど大手の対応を参考に検討すると表明した。 



【図】