ニュース 社会 作成日:2012年6月21日_記事番号:T00037803
台風5号(アジア名・タリム)が20日、台湾海峡を台湾本島に向けて接近する中、テレビ画面に屏東県林辺郷の深刻な洪水発生状況が映し出された。これを見た曹啓鴻・屏東県長は、あわてて林辺郷長に連絡を取り、「こんなにひどい洪水なのに、なぜ報告しない」と問い詰めた。
これに対し郷長の返答は「一体どこで?」。わけが分からないながらも郷長は直ちに確認したが、各地域からの回答はやはり「洪水なんて起きていない」。どうやらテレビで放映されたのは、過去に同地で洪水が発生した際に録画された映像資料だったようだ。
林辺郷では、2009年8月の台風8号(アジア名・モーラコット)で確かに大規模な洪水被害が出たが、治水工事を行い環境は大幅に改善している。今回の台風報道に対し住民からは、「まるで林辺郷は水没したらいいと思われているようだ」、「派手な刺激的な画面にしたいがために住民をないがしろにした」などと憤りの声が上がっている。
このほかにも、テレビで「屏東県の水産試験所で洪水が発生」と報じられたため、消防隊が駆けつけたものの単なる水たまりだったとか、台南市に住む高齢の男性がテレビを見て洪水が起きていると思い込み消防隊を呼んだが、ちょっと排水すればすぐ乾く程度だった──などなど、無駄足が相次いだ。このため消防隊員は「ちゃんと確認してから報じてほしい」と不満顔だ。
これに対し各テレビ局は「できるだけ最新の状況を放映するよう努めている。映像資料を使うのは市民に注意を促すためで、画面をにぎやかすことが目的ではない」と反論している。
今回の台風で被害が小さかったことは喜ぶべだが、台湾メディアは注意喚起に重点を置くあまり、パニックを抑制するという重要な役割を忘れているのではないかと思わせるくらいの煽りっぷりだった。少なくとも、現在の状況か資料映像かの区別くらい、ひと目で分かるようにするべきだろう。
屏東県林辺郷に隣り合う枋寮郷の漁港には大波が打ち寄せた(20日=中央社)
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722