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利用急増の水害防止用土のう、廃棄方法が問題に


ニュース 社会 作成日:2012年6月22日_記事番号:T00037828

利用急増の水害防止用土のう、廃棄方法が問題に

 6月に入り、台湾各地で豪雨や台風襲来が相次いだことから、水害防止のための「土のう」の使用が全土で急激に増えている。しかし、使用済みの土のうがむやみに破棄されることが多く問題になっている。

 今月12日に発生した豪雨は、桃園県を始め各地に大きな被害をもたらした。さらにその直後に2つの台風が相次いで接近、特に20〜21日にかけて近づいた台風5号(アジア名・タリム)は、強烈な暴風雨をもたらすと予測され、各地の県市政府から土のうを受け取る市民が急増した。

 このため台南市では昨年12万個だった土のうの供給量が今年は既に17万個に、桃園県でも15万個、台北市でも用意した3万個が既に底をついたという。

 水害の懸念が去った後に残された土のうの管理方法は各県市で異なるが、リストを作成して管理する高雄市などを除き、ほとんどの県市では市民が各自で保管することになっており、不法に廃棄する人も多いという。

 専門家は、回収をシステム化しなければ、大気汚染のほか将来的にさらにひどい水害をもたらすという本末転倒な結果につながると警告する。土のうの袋は屋外で日光や風にさらされると破れやすくなり、漏れ出た砂が次回の大雨で排水溝に流れ込み、ヘドロと混ざって水の流れを阻害するという。

 このため桃園県などでは、環境保護局や清掃部門と協力して回収に努めているほか、市民にも協力を呼びかけている。

 なお、台湾最南部の墾丁国家公園内に位置する恒春鎮では、土のうを作成するために必要な砂が不足したため公園管理所に対し、独特の景観で知られる観光スポット「風吹沙」からの採取を要請した。

 管理所もこれに同意し、トラック2台分の砂が運び出されたが、ネット上に穴だらけになった同地の画像が掲載され、「貴重な砂の採取を許す国家公園が世界のどこにある」「別の場所の砂では間に合わなかったのか」などと批判が起きている。

 災害時に人命を最優先することは当然だが、それによって他の部分や将来に及ぶマイナス影響をできるだけ小さくする方策を普段から講じておくことも行政の重要な任務と言える。ぜひこの教訓を生かしてもらいたい。

 
「風吹沙」で作られた土のう。墾丁国家公園管理所は「住民の生命と財産を守るため、致し方なかった。今後元に戻す予定だ」と釈明した(21日=中央社)