ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

タクシーが客置き去り出発、240キロ走って気付く


ニュース 社会 作成日:2012年6月28日_記事番号:T00037933

タクシーが客置き去り出発、240キロ走って気付く

 タクシー運転手の劉さんは4月のある日、深夜1時過ぎに台北市内で、「南投県まで行ってくれ」という長距離客を拾った。大量の荷物を積み込んだ後、ドアが閉まる音を聞いて客が乗車したと思った彼は、車をスタートさせ、一路南投県へ向かった。ところが、間もなく目的地に到着というところで後部座席を振り返ってびっくり。客の姿が見当たらないではないか。あわてて往復478キロメートルを取って返したものの、客は既に泥棒に遭ったと警察に通報してしまっていた。

 高さんというこの乗客は当日、酒を飲んでいた上、多くの土産物を抱えていた。さらに「故郷に錦を飾ろう」とタクシーで南投県まで帰ることを思いつき、劉さんを呼んだというわけだ。

 高さんは前金として2,000台湾元を劉さんに渡した後、服やバッグ、おもちゃ、フカヒレ、干し貝柱、たばこといった大量の土産物をトランクや後部座席に次々と積み込んでいった。すべて積み終えた後、自身も乗車したところで、積み忘れたものがあることに気付いた。そして取りに行こうと再び車を降り、何の気なしに車のドアを閉めた。

 バタン──。その音を聞いた運転席の劉さんは、客が乗り終えたものと勘違いして車を出してしまった。その後、バックミラーで確認もせずに車を走らせ、客が乗っていないことに彼がようやく気づいたのは、目的地に近づき、下車地点を聞こうと後ろを振り返った時だった。

 一方、忘れ物を持って戻ったところでタクシーと土産物が跡形もなく消えているのを発見した高さんは、「盗まれた」と考えて警察に通報しており、戻ってきた劉さんは訴えられることに。

 「誤解だ」という劉さんの主張に警察が走行記録を調べたところ、タクシーは確かに寄り道もせずに台北~南投間を往復していた上、失くなった土産物もなかったため、無実が証明され、不起訴となった。

 「なぜ一度も後部座席を確認しなかったのか」という検察官の質問に、「客のプライバシー尊重のためで、物音がしないのは酔って寝入っているんだと思った」と劉さん。どうやらとても真面目な運転手のようだ。出発前に一度だけ確認しなかったことが悔やまれる。