昨年12月に行われた高雄市長選挙で、落選した黄俊英候補(国民党)が不正選挙を主張し選挙の無効と陳菊市長(民進党)の当選無効を訴えていた裁判の控訴審で、台湾高等法院高雄分院は16日、当選無効とした1審判断を覆し、「陳菊氏の当選は有効」という逆転判決を下した。同裁判では、同日の2審判断が確定判決となり、陳菊氏は引き続き市長の座にとどまることとなった。
「1票差でも勝ちは勝ち。それが民主主義」。勝訴を喜ぶ陳菊市長(中央)(16日=中央社)
高雄市長の選挙戦では、民進党陣営が最終盤で「黄候補が票の買収を行っている」と暴露。黄候補は虚偽の主張に有権者の投票行動が左右されたとして選挙の無効と当選無効を訴え、1審の高雄地方法院はこの主張を認める判決を下していた。
しかし、16日の2審判決では、「新たに票の確認を行った結果、疑問票は361票のみで、1,171票ある当選者と落選者の票数差には影響しない。『票の買収』の暴露に議論があることは認めるが、選挙罷免法(公職選挙法に相当)で違法とされる『他の候補者の選挙活動妨害』や『他者の投票に影響を与える』ことがあったとは認められない」として、一転、黄候補の訴えを退けた。
判決に対し陳市長は、「判決は市民の期待に沿ったものだ」という談話を発表。「今後の(任期の)3年、市民の利益となる建設を推進し、暖かく幸福な高雄市を実現したい」と語った。
選挙での「正義回復」呼び掛け
一方、敗れた黄氏は、「多くの市民がこのような結果は受け入れられないと思う」と失望のコメントを発表。「司法のプロセスは終了したが、公理と正義の追求を続けたい。悲憤を力に変え、来年の立法委員選挙では国民党の候補者に、総統選挙では馬英九候補に投票することで正義を取り戻そう」と有権者に訴えた。
一審勝訴から結果は暗転したが、潔く司法を尊重する態度を見せた黄俊英氏(中央)(16日=中央社
同裁判は、来年の立法委員選挙や総統選挙が近付く中、再選挙が決定した場合、野党陣営のムードを高める可能性があるとして注目されていた。民進党にとっては、総統選挙前に南部の重要基盤を失う可能性がなくなり、胸をなで下ろした形だ。