ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

中国人のブランド品購入、期待外れ


ニュース 商業・サービス 作成日:2012年7月6日_記事番号:T00038120

中国人のブランド品購入、期待外れ

 中国人観光客の台湾自由旅行の部分開放から1年が過ぎたものの、ブランド品の売れ行きは期待ほど伸びていない。台北101のショッピングモールにはこの2年、高級ブランドがこぞって大型の旗艦店を出店したものの、ウインドーショッピングを楽しむ中国人観光客が大部分で、実際に購入に至るのは一握りだという。劉家豪・広報担当は、2~3年かかるかもしれないが商機は必ずあると述べ、今後に望みを託す考えだ。6日付聯合報などが報じた。


台旅会は、中国人ツアー客は08年の開放後2~3年してから大幅に伸びたため、自由旅行も徐々に効果が出るとの見方だ(4日=中央社)

 台北101で昨年、中国人が消費した金額は7億~8億台湾元(約19億~21億円)で前年の2倍に増えたが、売上高の15%を占めるにすぎなかった。劉広報担当は、台北101を訪れる中国人は買い物をする時間に制限のある団体ツアー客ばかりで、じっくり買い物に時間を費やせる自由旅行者の姿は本当に少ないと指摘した。

 台北101の4階に広さ1,480平方メートル、アジア太平洋で最大規模の旗艦店を構えたバーバリーは、来店客の8割が中国人だが売上高に占める割合は5%にすぎず、当初の予想に達していないと指摘した。メインはやはり台湾のVIP客だという。

 世界最大、400坪余りの旗艦店を出店したクリスチャン・ディオールは、3月のオープン当初に100万台湾元(約270万円)以上の限定品の皮財布を購入するため中国人セレブ女性が飛んできたのは事実だが、これは単なる個別ケースで、中国人の商機の規模はまだ分からないと説明した。

香港・マカオが根強い人気

 一方、晶華国際酒店集団(フォルモサ・インターナショナル・ホテルズ)の直営ブランドモール、麗晶精品(リージェント・ギャラリア)は中国人商機に備え、昨年全面改装したものの、少数のツアーコースにしか組み込まれなかった。陳家玉総監は、中国人にとって、旅行が全面開放されておらず申請が面倒、両替も不自由な台湾よりも、香港やマカオでショッピングする方が楽しいはずだと分析する。もし中国人が売り場に大挙押し寄せれば、台湾のVIP客が逃げ出す恐れがあると指摘し、商機の規模を読み切れない中国人よりも、台湾の固定客を大切にした方がよいと慎重だ。

安く泊まってショッピング

 台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)の統計によると、上半期に自由旅行で台湾を訪れた中国人は延べ5万8,000人で、昨年の2万9,000人から順調に増えている。ただ香港を個人旅行で訪れる中国人が年間1,400万人に上るのと比べると、その差は歴然だ。

 一方、ツアー客は前年同期比56.52%増の93万5,000人で、過去最高を更新した。昨年通年の120万2,000人を上回るのも時間の問題とみられる。

 交通部観光局の調査によると、中国人の宿泊費用は2009年の1日当たり平均71米ドルが11年には45米ドルに減少した一方、買い物費用は117米ドルから160米ドルに増えた。安く泊まって、浮いた予算を買い物にまわす傾向がうかがえ、中国人の買い物商機自体は今後も拡大する可能性が十分残されていそうだ。