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AUOなど3社、米カルテル訴訟で和解【表】


ニュース 電子 作成日:2012年7月13日_記事番号:T00038250

AUOなど3社、米カルテル訴訟で和解【表】

 米国市場での液晶パネル価格をめぐる国際カルテル事件に関連し、消費者が損害賠償を求めた集団訴訟で、液晶パネル大手の友達光電(AUO)、東芝、LGディスプレイはこのほど、総額5億4,350万米ドルの賠償金を支払うことで原告と和解した。ブルームバーグ電などが伝えた。

 原告側弁護士は11日、米カリフォルニア州北部連邦地裁に和解を受け入れる意向を伝えた。3社は和解金とは別にカリフォルニア、フロリダなど8州の当局に罰金2,750万米ドルも支払うため、今回のカルテルをめぐり3社が支払う金額は合計5億7,100万米ドルとなる。各社の負担額はシェアに比例する形で13日にも固まる見通しだ。これにより、2007年から6年間に及んだロングラン訴訟に終止符が打たれることになった。

 13日付自由時報によると、AUOは事実関係を認めた上で、賠償金の額について「明らかにできない。裁判所による認可後に明らかにする」とコメントした。その上で、同社の第2四半期や下半期の業績に重大な影響が及ぶことはないとの認識を示した。

訴訟の経緯

問題の訴訟は、06年に米政府が国際カルテルの疑いで液晶パネル業界に対する調査を開始したことがきっかけだった。その後、07年に各社の液晶パネルを使用したテレビやディスプレイを購入した消費者が「不当に高い製品を買わさえれた」として、液晶パネルメーカー8社を提訴。うち、サムスン電子、シャープなど5社は昨年末、総額5億3,850万米ドルの賠償金を支払うことで合意しており、残る3社の対応が注目されていた。今回の合意分と合わせると、賠償金は総額10億ドルを超え、米国での集団訴訟の賠償金としては過去最大規模となる。

刑事訴訟は係争中

 民事訴訟に関しては和解に達したが、刑事訴訟の部分はまだ決着が付いていない。刑事訴訟では、反トラスト法(独占禁止法に相当)違反で起訴された被告のうち、サムスン電子、LGディスプレイ、シャープ、中華映管(CPT)、奇美電子(チーメイ・イノルックス)、瀚宇彩晶(ハンスター)、エプソン、日立ディスプレイズの7社は昨年12月、米司法省と和解し、総額約5億8,500万米ドルの罰金の支払いに応じた。しかし、AUOだけは和解を拒否し、無罪を主張し続け現在も訴訟が進行している。

 AUOに対する1審判決はまだ下されていないが、有罪となれば、AUOは最高で談合による被害額の2倍に相当する10億米ドルの罰金支払いを命じられる可能性があるほか、担当幹部は最高で懲役10年、罰金100万米ドルの判決を受ける可能性がある。AUOは一連の訴訟でこれまでに130億台湾元(約345億円)を訴訟準備金として計上したが、巨額の罰金支払いが確定すれば、AUOの財務状況に大打撃となるのは必至だ。