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中国銀聯カード、台湾使用が倍増


ニュース 金融 作成日:2012年7月16日_記事番号:T00038279

中国銀聯カード、台湾使用が倍増

 中国の金融機関が発行する「銀聯カード」の上半期の台湾での使用額が415億台湾元(約1,100億円)と、前年同期の2倍に急増した。利用可能な店舗や現金自動預払機(ATM)の増加が後押しし、同期間に台湾を訪れた中国人ツアー客の前年同期比56.65%増を上回る大幅な伸びだ。今後、中国人の台湾自由旅行開放が進むに連れ、銀聯カード解禁当初に予想された年間1,000億元の商機が実現する日も近付きそうだ。16日付聯合報などが報じた。

 銀行間ATMネットワークの運営会社、財金資訊(FISC)の統計によると、銀聯カードによる上半期のクレジット・デビット決済は前年同期の2.23倍、220億元で、ATMでの現金引き出しは同1.89倍、195億元だった。ATMでの現金引き出しがカード決済に迫る規模となったことに銀行関係者は、現金払いを好む中国人の消費傾向を説明した。

 一方、台北101のショピングモールや美麗華百楽園(ミラマー・エンターテイメント・パーク、台北市)は、中国人は以前は現金支払いが多かったが、ここ1年は銀聯カード利用が増えていると指摘した。中国信託商業銀行の張智詮副総経理は、ビザやマスターカードを海外で利用すると、毎回1.5%の手数料が上乗せされるが、銀聯カードはこの手数料がかからないためと分析した。

対応端末、4倍に

 金融監督管理委員会(金管会)銀行局によると、銀聯カードの使用が解禁された2009年8月から11年末までのクレジット・デビット決済は331億9,000万元で、今年上半期だけで従来の年間の金額以上の利用があった。

 背景には、解禁当初は銀聯カードに対応している端末機が台湾全土で2万台しかなかったが、現在は8万台に増えたことがある。ある中国の銀行関係者は、当初は現金引き出しができなかったため、銀聯カードの利用場所はブランド店が集まる台北101のショピングモール内が3分の1を占めていたが、今や台湾全土で利用可能になり、タクシーでも使えると利便性向上を強調した。

 上半期は利用場所の広がりも目立った。高雄市の漢神巨蛋購物広場(漢神アリーナショッピングプラザ)、塩テイ(テイは土へんに呈)、三多、新堀江の4大商圏には200店近い特約店があり、下半期も大幅な利用増が見込まれている。

自由旅行拡大、8月末にも

 劉家豪・台北101広報担当は、ブランド品の定価が中国より1~2割安いことから、自由旅行者が増えれば消費が増えると予測。台北101の昨年売上高のうち中国人が占めた割合は15%にすぎなかったが、香港やマカオの百貨店業界では50~60%を占めているため、成長余地は依然大きいとの見方を示した。

 中国人の台湾自由旅行は8月28日にも、▽深圳市▽福州市▽西安市▽済南市──の住民にも開放されるとみられている。現行の上海市、北京市、重慶市など9都市の住民は昨年6月28日、今年4月28日に開放されている。福建省の住民を対象とした離島3島(金門、馬祖、澎湖)の「小三通」自由旅行解禁も、海峡西岸経済区(海西特区)の住民に拡大される見込みだ。

台湾人向け発行も

 金管会銀行局の桂先農局長は15日、台湾の金融機関に銀聯カードの発行を認めるかどうかは慎重に検討していると表明した。一方、銀聯カードのオンライン決済システム運営会社、中国銀聯(チャイナ・ユニオンペイ)は金管会に対し、台湾での営業拠点の設立を申請しており、台湾人向けの銀聯カード発行を目指しているようだ。 

【表】