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白血病の15歳、数学オリンピックで金メダル


ニュース 社会 作成日:2012年7月17日_記事番号:T00038281

白血病の15歳、数学オリンピックで金メダル

 高校生を対象とした数学の国際大会、「第53回国際数学オリンピック」がこのほどアルゼンチンで開催され、台湾から参加した陳伯恩君(15歳)が金メダルを獲得した。陳君は中学を卒業したばかりで、高校入学前の生徒が同大会で金メダルを獲得するのは台湾で初めて。しかも陳君は1歳の時に病気で左目を失ったほか、一昨年には白血病にかかっていることが判明し、つらい化学療法を続けながらの快挙は、台湾中に感動を与えている。

 国際数学オリンピックでは6問の出題を2日間にわたって解答するもので、成績の上位12分の1に金メダルが与えられる。今年は100カ国・地域から548人が参加した。

 陳君は生まれて1年半が過ぎたころ、「網膜芽細胞腫」という目のがんを両目に発症し、化学治療により右目は回復したものの、左目は切除を余儀なくされ、義眼を付けることになった。さらに一昨年には「血液のがん」と呼ばれる急性リンパ性白血病にかかっていることが判明、のた打ち回るほどの痛みを伴う化学治療を続けている。

 病院で過ごすことの多かった陳君は、小さいころから数学に興味を示し、数学の問題を解くことが入院生活最大の楽しみとなっていた。そんな陳君のため、いつも数学関連の書籍や雑誌を持って見舞いに訪れていた教師があるとき、数学オリンピック出場経験のある女子生徒を連れ来たことがあった。そのときの彼女と交わした数学談義が彼を触発し、「僕もオリンピックに出たい」と考えるようになったという。

 しかし化学療法を続ける彼にとって海外旅行は命にかかわる大冒険だ。陳くんの母親は「台湾代表に選ばれたら参加してもいい」と約束したものの、本当に選ばれるとは思っていなかったそうで、昨年初めて代表に決まったときは心配の方が大きかったという。

 一家総出で付き添い、解答中も時間通りに薬を飲みつつ昨年は惜しくも銀メダルに終わったが、今年も連続して代表に選ばれ、ついに金メダルを獲得した。

 その数学能力は既に大学院レベルに達しているという陳君の夢は、ノーベル賞学者を多く輩出している米カリフォルニア工科大学で学び、数学者になることだそうだ。ぜひとも叶えてほしい。