ニュース 社会 作成日:2012年7月20日_記事番号:T00038359
台湾で現在まで70年以上にわたり愛され続けている米の品種、「蓬莱米(台中65号)」を生み出したのが日本人だというのはご存じだろうか。その人物とは、日本統治時代に台湾に渡って米の品種改良に取り組んだ磯永吉・元台北帝国大学(現・台湾大学)教授。その磯教授が当時、蓬莱米開発に使用した実験場、通称「磯小屋」がこのほど民間の寄付金によって修復され、一般公開された。
現在、台湾大学農業試験場内にひっそりとたたずむ「磯小屋」が建てられたのは1925年。磯教授はここで膨大な数の交配実験を繰り返し、約10年の年月をかけて蓬莱米の開発に成功した。李登輝元総統によると、台湾は米の二期作が可能だったことから日本本土への販売が急増し、日本の農家が圧迫されるほどだったという。台湾人に現在に至るまで親しまれ続けているほか、蓬莱米とサトウキビの販売で得た資金が後の工業化を支えたとも言われる。
なお「蓬莱米の父」と呼ばれた磯教授は、終戦後も請われて台湾に残り、農林庁顧問として蓬莱米の普及に当たった後、57年に日本へ帰国した。帰国する際、台湾政府はその貢献をたたえ、存命中は毎年1,200キログラムの蓬莱米を送り続けることを約束した。
しかしその後、日本と断交した台湾では教科書などの「脱日本化」が進み、「磯小屋」も放置されて荒れ放題となり、取り壊し計画も持ち上がった。
そんな中、9年前に台大農芸学系関係者の奔走によって小屋の中から磯教授の蔵書約4,000冊、手稿、当時使用された顕微鏡や温度・湿度記録器など貴重な道具が見つかった。
その後、小屋の修復が計画されたが、大学の予算に余裕はなく、民間の寄付やボランティアによって作業が進められた。その結果、「磯小屋」は史跡に指定され、蔵書や機器類も保存が決まった。
一般公開は水曜日と土・日曜日の週3日。先人が奮闘した場所に立ち、当時に思いをはせてみてはいかがだろう。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722