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公共空間の室温26度以上、来年全面化へ


ニュース その他分野 作成日:2012年7月23日_記事番号:T00038408

公共空間の室温26度以上、来年全面化へ

 来年1月1日から、ホテル、百貨店、銀行、駅、空港など公共の場で、室温設定が26度を下回った場合、最高10万台湾元(約26万円)の罰金が科される見通しだ。経済部能源局(エネルギー局)が、省エネルギー推進のため、台北市が昨年5月に導入したのと同様の規制を全土に適用する方針だ。市民からは、26度以上では暑過ぎる、誰もショッピングに行かなくなると反対の声が上がっている。専門家は、商業施設の室温規制に省エネ効果は薄いと指摘した。23日付蘋果日報が報じた。

 能源局は従来、▽観光ホテル▽百貨店▽量販店▽スーパーマーケット▽コンビニエンスストア▽ドラッグストア▽家電量販店──に対して、クーラーの冷気を外に漏らさないよう定めていたが、このほど▽銀行▽証券会社▽郵便局▽公共交通機関の駅──を加えた11カ所で室温が平均26度を上回らないよう来年1月1日から規定を追加すると予告した。違反した場合の罰金は2万~10万元。

 能源局の官僚は、サービス業の使用電力の34%が空調に充てられていると理由を説明。「屋外の気温が26度未満」または「業務の性質上26度未満でなければならない」場合を除いて適用すると説明した。例えば冬季は屋外の気温が低いため、暖房で無理に室温を26度以上に上げる必要はない。

 先行実施している台北市政府は、能源局の法令では対象外となるフィットネスクラブ、商業オフィスビルなどは、現行通り台北市の条例を適用すると説明した。同市産業発展局の章宗慶科長によると、施行当初は市民から暑過ぎる、気分が悪くなるなど市や商業施設にクレームが相次いだ。しかし違反した場合も改善の期限を設けると明文化しており、実際に罰金を科したケースはないという。同市によると、中国と韓国も夏季は公共施設内の温度が26度を下回ってはならないと規定している。

松山空港、今は26度未満

 これについて新光三越百貨は、今年5月から自主的に全店の室温を26度にしているが、大方受け入れられていると説明した。遠東百貨(ファーイースタン・デパートメントストアズ)は、延べ床面積5万坪を超える台中大遠百(トップシティー)のような大型店舗では、すべての場所を適温にするのは困難な上、室温が高過ぎれば来店してショッピングを楽しむ気がうせると業績への影響を懸念している。

 蘋果日報の記者が22日に行った現地測定によると、台北松山空港は国際線の到着ロビーが23.7度、台湾域内線の待合室が25.6度だった。国際線の到着ロビーに涼みに来ていた男性は、23度がちょうどいい室温で、26度以上になれば誰も耐えられないと語った。域内線の待合室にいた女性は、25.6度でも十分むっとしているのにと不満気な様子だった。台北喜来登大飯店(シェラトン・タイペイ・ホテル)は1階ロビーが25.1度だった。

 中興大学応用経済系の陳吉仲教授は、エネルギー使用量が大きく、温室効果ガス排出量も多い工業分野にエネルギー効率の改善を迫った方が、民間の商業施設の室温を規制するよりも省エネ効果があると指摘した。

能源局、こっそり改正?

 能源局は今回、半年後にも全土で施行予定の規定改正について、記者会見を開かず、ニュースリリースも出さず、公式ホームページで12日から予告したのみで、蘋果日報によると22日には掲載を取りやめていた。これでは周知が不十分だとの批判に対し、能源局の官僚は22日、単なるコンピューターの設定の関係だと弁明した。既に企業を対象に説明会を4回開いたが反応は良好だったと強調した。近く公聴会を開いて広く意見を募り、早ければ8月にも最終決定した上で公告し、十分に周知を図って来年導入したいと語った。

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