世界的な不景気で消費者の財布のひももきつくなりがちな中で、大手旅行会社の雄獅旅遊（ライオン・トラベル）が26日、１日当たり料金が台湾の業界過去最高額となる世界一周旅行を発売する。同社によると、こうした高額な世界一周ツアーには一定の需要がある。主な参加者は女性が「45〜50歳、独身で年収1,000万台湾元以上」で特に訪問販売が仕事という人が多く、男性は中国に工場を持つ中小企業の社長が多いという。

　また年収が「中の上」の自営業や、民間企業幹部クラスがリタイア後に夫婦で参加するケースも多い。台北市で書店を経営する何さんはこの夏、夫と３度目の世界一周旅行に出かけた。「人生で最も貴重な経験」とその魅力を語る何さんは、若いころからの貯金と保険の満期払戻金を旅行資金に充て、これまでに「台北で家が買える」ほど費やしたそうだ。

　なお雄獅旅遊の游国珍協理によると、世界一周ツアー参加者の最高齢は73歳の女性で、５人の子どもが費用を出し合ってそれまで一度も海外旅行をしたことのなかった母親の夢を叶えたのだという。ちなみに最年少は31歳の女性だった。

　ちなみに今回、雄獅旅遊が発売したツアーは、43日間で５大陸12カ国を回るというもので、１日当たりの料金は最低でも９万3,000元と、台湾の平均的なサラリーパーソンの給与、約２カ月半分に相当する。

　コースは、▽英国のウィリアム王子がハネムーンで泊まったセーシェル諸島のホテル▽ケニア、タンザニアの動物大移動を熱気球から見物▽ニュージーランドでの氷河見物──などのほか、ミシュラン級の各国レストランでの食事、さらに身の回りの世話をする「旅行秘書」が付くという超豪華なもの。

　雄獅旅遊は、同社が抱える高額ツアー顧客リストのうち少なくとも100人が興味を持つと見込んでいる。今年から来年にかけて３回のツアーを組む計画で、第１団（15人まで）の出発は９月19日。懷に余裕のある方は思い切って申し込んでみては？