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「小銭なければ次回払いで」、太っ腹な路線バス


ニュース 社会 作成日:2012年7月26日_記事番号:T00038462

「小銭なければ次回払いで」、太っ腹な路線バス

 台湾の路線バスは通常釣り銭が出ず、乗車または下車する際に運賃をぴったり支払う必要がある。バスに乗って停留所で降りようとして財布をのぞくと紙幣しかないのに気づいて大慌て──そんな経験はないだろうか?こうしたケースに対し、「小銭がない乗客は(不足)運賃を無料とする」と規定している太っ腹なバス会社がある。

 このバス会社は、北部を中心に路線バスを運行する大手、首都客運(キャピタル・バス)だ。李建文・同社総経理によると、乗客の安全を守り、プライドを傷つけないように「無賃乗車」を認めることに決めたそうだ。乗客が小銭がなかったと「自首」し、どうしたらいいかと尋ねてきた際には「次回、首都客運かグループ会社の台北汽車客運(台北バス)を利用したときにでも、払ってくれればいいよ」と回答するよう運転手に指導しているという。

 李総経理によると、以前ある小さな男の子がバスに乗った後に、財布に小銭がないことに気づき、悩んだ挙げ句、後方のドアから慌てて飛び出し、転倒してしまったことがあったという。ある若い女性は台北から自宅のある宜蘭に帰ろうとしたが切符を買う持ち合わせがなく、切符売り場でお金を借りて乗車し、翌日わざわざ父親とともに運賃を返しに出向いてきたそうだ。

 こうしたことが続き、社内で話し合った結果、小銭があるないにかかわらず、乗客を乗せることを社内規定に盛り込むことに決めた。

 運賃を毎回踏み倒す人が出てくるのでは?李総経理は「乗客との信頼関係があれば、大部分の人が次回ちゃんと払ってくれる」と語り、「もし払わなかったとしても、事故発生の可能性を減らすことができたと考えれば、意義がある」と強調した。

 また同業の東南汽車客運も、小銭を持ち合わせない乗客がいれば無料にしている。ところが次回払えばいいという運転手の説明を聞いて、気分を害し「運転手の態度が悪い」と訴える乗客もいるとか。そのため具体的な規定は設けずに運転手それぞれが機転を効かせて対応している。なかなか気苦労が多そうだ。