ニュース 農林水産 作成日:2012年7月26日_記事番号:T00038487
立法院臨時会は25日、成長促進剤としてラクトパミンを飼料に添加した米国産牛肉の輸入を条件付きで認める、食品衛生管理法の改正法案を可決した。従来ゼロ検出としてきたラクトパミンの残留基準を国際食品規格委員会(CAC、コーデックス委員会)の基準を参考に2週間以内に制定した後、公告を通じて産地表示の義務化などを周知徹底する。早ければ9月にもラクトパミン残留の米国産牛肉が店頭に並ぶ見通しだ。26日付蘋果日報などが報じた。
原産地表示を義務付ける条例を一足先に発表した台北市は、9月予定の施行後2週間に1回以上、量販店や市場を点検する(25日=中央社)
食品衛生管理法の主な改正点は、▽台湾内外の食肉・肉製品に、行政院衛生署が安全と定めた残留基準を超える成長促進剤の検出を認めない▽レストランなど飲食を提供する場合、指定食品の原産地を中国語で表示しなければならない。量販店など食品をばら売りする場合、製品名、原産地、生産地、有効期限を中国語で表示しなければならない▽成長促進剤の残留基準を満たした食肉・肉製品を食して健康に害が出た場合、政府は直ちに輸入を禁じる。台湾産の場合、損害賠償の請求を政府が支援する──。付帯決議として、残留基準を定めるのは牛肉に限定し、豚肉や牛・豚肉の内蔵には適用しないことも決められた。
残留基準以上の成長促進剤が検出された場合、罰金6万~600万台湾元(約15万5,000~1,550万円)を科す。問題が深刻な場合は業務停止、会社・商業・工場の登記抹消を命じる。原産地表示などの違反には罰金3万~15万元を科す。1年以内に再犯した場合、同様に営業停止、工場登記・免許を抹消する。
行政院農業委員会(農委会)の陳保基主任委員は25日、30~40日後にも衛生署と同時に公告できる見通しで、早ければ9月に条件付き解禁となると語った。
これまで野党民進党の反対で審議が難航し、6月の立法院通常会では採決自体が妨害されたが、コーデックス委員会が今月5日、ラクトパミンの残留基準を10ppb(10億分の1を示す単位)とする決議を行ったことが法改正につながった格好だ。
衛生署の康照洲食品薬物管理局長は、コーデックス委員会の残留基準とともに、日本や豪州が定める1日摂取許容量(ADI)を参考にすると語った。これによると、体重60キログラムの成人が1日6キロの牛肉を食した場合に摂取過多に相当する。
飲食店・販売店、喜びの声
米国産牛肉の輸入規制緩和に、飲食店や肉製品販売店からは歓迎の声が上がった。
台湾吉野家の蘇嬉蛍総経理は、米国産牛肉問題の影響で、看板メニューの牛丼を3カ月間販売停止とし7月初旬に豪州産牛肉で再開したが、米国産の方がやはり歯応えが良いと語った。実際に米国産牛肉を使用するのは、法規など詳細を確認してからと付け加えた。
米国系の会員制量販店、好市多(コストコ)の王友玫経理は、米国産牛肉を1年余り取り扱っていなかったが、豪州産では量も種類も及ばず、肉製品の売り上げが落ちたと明かした。
飲食店やスーパーマーケットに食肉を供給する、台湾最大手の冷凍冷蔵倉庫業、統一企業(ユニプレジデント)が3割出資する裕国冷凍冷蔵(イーグル・コールド・ストレージ・エンタープライズ)は、1~2月には月8,500万元あった販売額が米国産牛肉問題の影響で、3月以降は5,000万元へと4割以上落ち込んでいた。
年内にTIFA再開=経済部
米国の在台窓口機関、米国在台湾協会(AIT)は、立法院の表決を米国は非常に評価しており、早期実施で米国産牛肉の輸入拡大につなげてほしいと表明した。
経済部の梁国新政務次長は、対外関係の発展に非常にプラスになると語り、米国産牛肉問題で07年から中断している米台間の貿易投資枠組み協定(TIFA)交渉を年内にも再開する目標を示した。今年3月に発効した米韓の自由貿易協定(FTA)へのキャッチアップ、米国が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加が視野にある。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722