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鴻海が大型TV、新ブランドで発売か


ニュース 家電 作成日:2012年7月31日_記事番号:T00038563

鴻海が大型TV、新ブランドで発売か

 31日付電子時報によると、EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)は、シャープとの資本提携後初の製品として大型液晶テレビを発売するようだ。鴻海がシャープと同じ46.48%を出資した堺工場(堺市)で生産する60インチパネルを搭載し、10月初旬にも台湾市場に投入して試金石とした上で、中国市場に乗り込むとみられている。

 鴻海は堺ディスプレイプロダクト(SDP、出資当時はシャープディスプレイプロダクト)への出資に伴い、第10世代マザーガラス採用の堺工場が生産する液晶パネルの半数を引き取ることで合意しており、4割以下に低迷する設備稼働率をどう引き上げるのか注目が集まっていた。

中華電信MODセットで販促

 市場観測によると、鴻海はこの液晶テレビを土城工場(新北市)で製造する。液晶テレビ産業のサプライチェーンに属する業者によると、「シャープ」ブランドとせず、鴻海は公表していないが新たなブランド名を特許出願している。また、鴻海はこの液晶テレビが当初、販路にあまり受け入れられないと予想して、中華電信のマルチメディア・オン・デマンド(MOD)サービスとセットで発売するという。中華電信のMODとセット販売しているのは現在、奇美グループのCHIMEI(チーメイ)、声宝(サンポ)、東元集団(TECO)、ソニー、パナソニックなどで、し烈な競争を繰り広げている。台湾市場規模は100万~120万台で、うち50万~60万台を海外ブランドが占め、地場ブランドの生存空間は大きくない。ここに参入しても鴻海に特にうまみはなく、中国市場参入に向けた試金石とみられている。

 これについて鴻海は、単なる市場観測だとコメントした。中華電信も事実であるとは認めていない。

市価の4割、4万元足らず

 鴻海のある従業員は、この60インチ液晶テレビは従業員に対する特別プランで、中華電信のMODを契約した場合4万台湾元(約10万円)を割り込むと明かした。市場に出回るシャープやソニーブランドの同サイズ機種が10万元以上するのに比べると破格の値段だ。鴻海の台湾の従業員は約1万人。

 経済日報は、社員価格が4万元弱ならばコストも同程度だと指摘した。シャープのパネルで鴻海が製造し価格も安ければ、消費者の購買意欲を十分刺激できる。もし鴻海が価格競争を仕掛ければ、液晶テレビを受託生産する冠捷科技(TPVテクノロジー)や緯創資通(ウィストロン)にとって脅威となりそうだ。

 郭台銘・鴻海董事長は6月中旬の株主総会で、60インチ以上の大型テレビを急速に普及させるため、中秋節(今年は9月30日)前後にまず台湾で販売を開始すると表明。製造からメンテナンスまで鴻海が一手に担うことで、台湾で就業機会1,000件以上を創出したいと話していた。

【図】