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今年は輸出ゼロ成長、中国向け不振


ニュース その他分野 作成日:2012年8月1日_記事番号:T00038588

今年は輸出ゼロ成長、中国向け不振

 行政院主計総処は31日、2012年経済成長率予測の7回目となる下方修正を行い、一挙に2.08%(従来3.03%)へと引き下げた。輸出と内需の不振によるもので、特に輸出は通年成長率(米ドル建て)予測が0.07%(従来2.69%)と、ほぼゼロ成長となる見通しだ。主計総処は対中輸出が予想より悪いことを理由に挙げた。政府は新興市場向けの輸出振興や外国人観光客誘致などの景気浮揚策によって、何とか2%成長を確保する構えだ。1日付経済日報などが報じた。


陳行政院長は、第2四半期の経済成長率は悪いと覚悟していたがマイナス成長は想定外だったと発言。景気の谷底かの見極めは困難だと語った(31日=中央社)

Q2マイナス転落、金融危機以来

 主計総処の12年経済成長率予測は、昨年8月時点の4.58%から下がり続け、前回5月時点から0.95ポイントの引き下げで、いよいよ3%を割り込んだ。世界金融危機の影響を受けた09年のマイナス1.81%以降、過去3年で最も低い数値だ。

 第2四半期の経済成長率はマイナス0.16%と、09年第3四半期以来のマイナス成長に陥った。主計総処は欧州債務問題の不安再燃、米国の景気回復力の弱さ、中国の景気減速で、同期の輸出が従来予測より23億米ドル少なく、減少率が5.4%までふくらんだことが主因だと分析した。

 財政部の統計によると、上半期の中国(香港含む)向け輸出は前年同期比8.8%減の568億9,910万米ドルで、輸出総額の同4.7%減を上回る減少率だった。

チャイワン転機、中国がライバルに

 主計総処は、台湾のハイテク企業が海外大手との競争にもまれて世界市場シェアを落とす中、中国はサプライチェーンのローカル化(地場企業の組み入れ拡大)、内陸部への移転を進め、液晶パネルや太陽電池など戦略産業に力を入れており、中台の相互補完関係が競合関係に変化しつつあると指摘した。台湾で研究開発(R&D)、中国で製造するといった中台の産業協力モデル、いわゆる「チャイワン(Chaiwan)」が崩れれば、台湾の輸出成長の抑制につながることは必至だ。

 行政院経済建設委員会(経建会)の尹啓銘主任委員は、米国や韓国が「再工業化」を掲げ、海外企業を呼び戻している中、台湾も競争力がある中国の台湾企業(台商)にUターンを呼び掛けるべきだと語った。00~07年に中国移転を急速に進めた結果、今や海外生産比率が50%に迫り、行き過ぎの感があるとの認識だ。

 陳冲行政院長は、貿易黒字を達成するため、「メイドイン台湾」を武器に比較的好調な新興市場を攻めると表明した。中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)は新興市場26拠点を年内に28拠点まで増やす予定だ。財政部は輸出拡大を目指し、輸出戻し税制度の復活や銀行の輸出用融資支援などを行う。

 交通部観光局は、日月潭(南投県)の横断遠泳、自転車フェスティバルなどのイベント開催で、台湾を訪れる外国人旅行者を年間延べ700万人(前年608万7,484人)に引き上げ、観光業に生産額3,400億台湾元(約8,800億円)をもたらしたい考えだ。

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