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台風9号で全土に大雨、農業・観光業に被害


ニュース 社会 作成日:2012年8月3日_記事番号:T00038590

台風9号で全土に大雨、農業・観光業に被害

 2日に2度上陸するという動きを見せた台風9号(アジア名・サオラー)は、台湾全土の観測所63カ所すべてで1日の降雨量が500ミリメートルを超える大雨をもたらし、中央災害応変中心(中央災害対策センター)によると、今回の台風により、死者5人、行方不明2人、負傷者16人が出た(3日午後2時半現在)。また作付面積約2,500ヘクタールに被害を受けた農業の損失は総額2億1,850万台湾元(約5億7,000万円)に上るとみられるほか、観光、百貨店業界に比較的大きな被害が出た。3日付自由時報などが報じた。


宜蘭県ではひざ上まで浸水した(2日=中央社)

 台湾の東部沿海側を北上した台風9号は、2日午前3時半ごろに花蓮県秀林郷に上陸した後、一度弧を描いて海へ抜け、その後午後2時ごろ新北市三貂角に再び上陸した。また今回は雨雲が台湾全体を覆う広い範囲に広がったことから、全土で大雨となり、3日間の雨量が宜蘭県の太平山観測所で1,786ミリを記録したほか、台中、新竹エリアでも同1,000ミリを突破。全土の土石流警戒地域は835カ所と、2009年に南部に甚大な被害をもたらした台風8号(モーラコット)来襲時の519カ所を上回り、過去最多を更新した。

宿泊キャンセル相次ぐ

 今回の台風を受け、各地の観光地ではホテルの予約キャンセルが相次いでおり、今週の客室稼働率は20〜50ポイント落ち込む見通しとなっている。特に宜蘭、新竹のホテルが大きなダメージを受けているという。またテーマパークも2日はほとんどが休園となり、中部地区での損失は2,000万元以上とみられている。

 このほか百貨店業界でも、台北の4店舗が半日休業となった太平洋崇光百貨(太平洋そごう)で通常に比べ20%の売上減、台北駅北側の「京站時尚広場(Qスクエア)」も同10%減の影響を受けた。ただ量販店では台風に備えた物資の購入が増え、2日の売上高は通常の1.5〜2倍に増えた。

 一方、工業では新竹県竹北市の電子部品メーカー、航欣科技で製造機器が水に浸かり、2億元を超える被害を受けたほかは大きな影響は出なかった。一部で発生した停電は既に復旧しており、断水も起きていない。

陸上警報解除、今後も注意を

 なお中央気象局は3日午前8時半、台湾本島が既に暴風圏を脱したとして陸上警報を解除した。ただ、台湾中部以北では台風外郭の気流の影響を受け、依然局地的に大雨が降る可能性があるほか、連日の雨で地盤が緩んでいるため土砂崩れなどが発生しやすくなっているとして注意を呼びかけている。