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鴻海、シャープ出資条件見直しへ


ニュース 電子 作成日:2012年8月6日_記事番号:T00038640

鴻海、シャープ出資条件見直しへ

 EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手、鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘董事長は5日、シャープに対する9.98%出資に関し、株価急落を受けて株式取得価格の再協議をシャープ側から提案されたと明言した。一方、シャープは3月に発表した契約内容の見直しはないと否定声明を発表。両社の食い違いに資本提携の破談観測も浮上したが、郭董事長は来年3月末までに出資を完了させると強調した。6日付工商時報などが報じた。


郭董事長は、投資とはわずか3カ月間の株価の動きを見るのでなく、10年、20年の長期スパンで考えるものだと語った(5日=中央社)

 シャープ株の取得価格見直しは鴻海が3日に発表し、シャープがすぐさま否定、市場では提携関係にひびが入ったとの見方が広がった。郭董事長は、投資家への説明義務を理由に5日、ニュース専門のケーブルテレビ局、東森新聞の番組に出演して火消しに努めた。

 郭董事長は、先週日本での片山幹雄シャープ会長などが同席する「経営管理委員会」に出席した際、町田勝彦相談役からシャープへの出資は1~2年後になってもいいし、株式の取得価格を改めて協議してもいいと提案されたと語った。町田相談役は、鴻海による堺ディスプレイプロダクト(SDP、旧シャープディスプレイプロダクト)への出資によって、シャープ最大の懸念は解消されたとの認識を示し、鴻海にさらなる負担をかけたくないと話したという。郭董事長は自ら価格の再交渉を持ちかけたのでは決してなく、同日の会議が長引いたため、シャープ広報に話が伝わっていなかったと説明した。同時に、まだ出資資金を振り込んでいないのは経済部投資審議委員会(投審会)の認可が得られていないためで、鴻海の信用にかけて約束は必ず守ると語った。

 3月27日の発表では、鴻海は当局の許認可が下り次第、5月31日から2013年3月26日までの間に1株550円でシャープの株式9.98%を取得するとなっていた。シャープの株価は3日に過去最低の192円を付け、下落幅は65%に達した。実際に出資していれば鴻海は第2四半期に64億台湾元(約170億円)の損失が出た計算だ。

 モルガン・スタンレーは、郭董事長がSDPに既に出資しているためシャープ本体への出資を取りやめる可能性は低く、また、シャープが出資比率引き上げに同意するとは思えず、取得価格見直しが最もあり得る可能性だと分析した。

堺工場、来年フル稼働へ

 郭董事長は、シャープへの出資を1年以内に実現したいのは、来年第1四半期にSDPへの出資効果が表れると見込めるためだと説明した。SDPの第10世代マザーガラスを使用した液晶パネル生産ラインは、郭董事長が出資する前は設備稼働率が25%にも満たなかったが、7月には60~70%まで改善したと指摘。今年末に80%、来年末にはフル稼働を見込み、生産能力の増強計画もある。14年に台湾株式市場上場する案もシャープ側の同意を得たと語った。