ニュース その他製造 作成日:2012年8月8日_記事番号:T00038693
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は7日、太陽電池最大手、茂迪(モテック・インダストリーズ)に対する出資を時期を見て引き揚げると初めて発言した。業界では、シリコン太陽電池市場の競争激化、相場急落から、TSMCの子会社が手掛けるCIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)薄膜太陽電池を選択したとみられている。8日付経済日報などが報じた。
40億元の授業料
モテックは上半期の連結純損失32億2,500万台湾元(約85億円)を発表し、7日株価は過去最低の28元まで下がった。TSMCは2009年、モテック株を1株82.7元、総額62億元で20%取得しており、帳簿上40億元近い損失を被ったとみられている。
張TSMC董事長は、損失額は計算してみないと分からないが、出資の目的は遂げたので、今後は単なる投資対象と見なし、適当な時期に株式を処分することもあり得ると語った。同社は、株式を今すぐ手放す計画も予定もなく、当面は董事2席を維持し、財務諸表にも何ら影響は出ないと強調した。また、太陽電池産業を長期的には好感しているため、薄膜太陽電池を主力に据える考えだと説明した。
証券会社によると、TSMCは第三者割当増資を通じてモテック株を取得しており、今年12月8日に3年間の譲渡制限期間の期日を迎えるが、同株はモテックが依然赤字状態のため公開市場で売却できない。手放すためには新たな引き受け先を見つける必要があり、直ちに売却に至ることはないとみられる。
実質コストの引き下げ可能
TSMCは、95%出資の子会社、台積太陽能が第1四半期に中部科学工業園区(中科)でCIGS薄膜太陽電池の量産に入った。業界関係者は、モテック出資を通じて太陽電池サプライチェーンを理解するという目的を達したため、世界金融危機以来と言われるほどの業界の低迷を受け、出資引き揚げを決めたとみている。
CIGS薄膜太陽電池は、シリコン太陽電池より生産コストが高いが、技術が未成熟で変換効率向上の余地がある。今後1ワット(W)当たりでコストが逆転すれば、市場の主流になり得る。現在、CIGSなど非シリコン太陽電池は米ファースト・ソーラーのほぼ独擅場だ。一方、シリコン太陽電池はモテックのほか、昱晶能源科技(ジンテック・エナジー)、新日光能源(ネオソーラーパワー)、中国の尚徳太陽能電力(サンテック・パワー)などが激しい競争を繰り広げている。
モテックは、TSMCから通知はなく、株主の考えを尊重するとのみコメントした。同社は台湾で最も早く太陽電池を製造したメーカーで、年産能力は1.5ギガワット(GW)に上る。川上のシリコンウエハーから川下のモジュール、太陽光発電システムまで幅広く手がけ、台湾業界の指標的存在だ。
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