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最低賃金引き上げ、サービス業に影響大


ニュース その他分野 作成日:2012年8月10日_記事番号:T00038745

最低賃金引き上げ、サービス業に影響大

  行政院労工委員会(労委会)は9日、基本工資(最低賃金)審議委員会を開き、最低月給は現行の1万8,780台湾元から1万9,047元(約5万円)へ1.42%引き上げ、最低時給は103元から109元へと5.82%引き上げること決めた。早ければ来週に閣議決定され、来年元日から施行される。労委会によると、98万人の労働者が恩恵を受ける一方、企業は保険料負担を含め50億7,300万元のコスト増になる試算で、現在月給1万9,047元以下の労働者の65%が集中するサービス業、特にホテル、レストランなどに最大の影響が及ぶ見通しだ。10日付経済日報などが報じた。

 労委会は最低賃金の引き上げ幅について、月給は昨年の消費者物価指数(CPI)上昇率1.42%を考慮したと説明。時給については、馬英九総統が115元までへの引き上げを総統選の際に公約しており、今後の経済情勢に重大な変動がなければ、再来年にさらに6元上乗せする予定だ。

 なお最低賃金の引き上げに伴い、労工保険や全民健康保険(健康保険)の保険料も上昇する。労工保険の保険料は、最低区分の労働者で毎月5元の負担増となる一方、雇用主は従業員1人当り17元のコスト増となる。健康保険は最低区分の労働者で毎月4元増、雇用主は14元の増加となるほか、退職金積立支出も16元の増加となる。

小売・飲食、月給制の比率拡大へ

 労委会は今回初めて最低月給と最低時給を連動させず、個別に決定した。このため現行では最低時給の103元で1日8時間、月に22日働いた場合、最低月給の1万8,780元を650元下回っているが、新制度では時給制が月給制を約140元上回ることになる。

 チェーンストア業界最大の業界団体、台湾連鎖・加盟協会(TCFA)は今回の最低賃金引き上げにより、ファストフード業者を含むチェーンストア業界全体で、今後2年間のコストが20億元増加すると予測。

 このため、時給制従業員が多いコンビニエンスストア業界や飲食業界では、今後月給制の従業員比率を引き上げることで人件費の抑制を図るとの声が出ている。

 量販店でも人件費が2〜3%増加するとみており、月給制従業員の拡大、および時給制従業員に対する教育強化を通じて生産額の向上を図る考えだ。

失業率は上昇も

 これに対し求人求職情報サイト大手、1111人力銀行の張旭嵐・広報担当は、予算にダメージを受ける企業は今後2年間、パートタイマー2人を減らして正職員1人を採用するなどの雇用戦略で対応することになり、現在4.21%と近隣諸国に比べ高い台湾の失業率は今後さらに上昇する恐れがあると指摘した。

【表】