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立法委員選、野党が情勢有利か


ニュース 政治 作成日:2007年11月21日_記事番号:T00003885

立法委員選、野党が情勢有利か

 
 小選挙区比例代表並立制では初めてとなる、第7回立法委員選挙(来年1月12日投開票)の候補者登録が20日締め切られ、113議席(選挙区73、比例34、先住民区6)を与野党428人の候補者で争うこととなった。2カ月後の3月22日には総統選挙が控えており、その前哨戦としての各党の戦いぶりと結果に注目が集まる。
 
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野球のユニホーム姿で候補者登録を行った、民進党の台中市3選挙区の各候補者。今回も与野党の勢力が拮抗する中部の動向が鍵になるとみられている(20日=中央社)

 選挙区で最も多く候補者を立てたのは最大野党、中国国民党(国民党)の70人で、次いで民主進歩党(民進党)の69人。以下、無所属41人、台湾団結聯盟(台聯)13人、紅党11人、第三社会党10人、台湾農民党(農民党)10人──などとなっている。

 小選挙区制度は大政党に有利だ。前回2004年の立法委員選挙以降、野党第2党、親民党から国民党への立法委員の流失が相次いだこともあり、「親民党の立法委員も選挙区では国民党候補者として立候補する」という合意が両党間でなされた結果、親民党の選挙区での立候補者は今回先住民選挙区の1人のみになった。 台聯所属だった廖本煙候補(台北県第5選挙区)、何敏豪候補(台中市第3選挙区)が同党を追われて民進党から立候補することになったのも、大政党の有利さ──小政党では勝てないという両氏の危機感が背景にあったとされる。親民党と台聯は既に選挙前に泡沫化し、台聯のケースでは、今回第3勢力の糾合を目指し、それに失敗した李登輝前総統の政治生命が事実上終わったとみられている。
 
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民進党、50議席届かず?

 気になる選挙戦の動向だが、台湾各紙の報道を総合すると与党陣営(泛緑)が過半数を制する可能性は低いようだ。21日付聯合報は同党関係者の話として、「与野党双方の支持基盤が55対45で野党陣営(泛藍)が有利な現状から、民進党は選挙区で27議席、不分区(比例代表)で12~14議席くらいではないか」という予測を紹介している。陳水扁総統は「少なくとも50議席獲得」という目標を打ち出しているが、目標として挙げるだけあって実際は難しい数字という評価のようだ。

 問題は仮に50議席を取ったとしても過半数の57議席には届かないことで、泛緑が泛藍より勢力が小さい状態が今後も続くこととなる。この7年半の民進党政権で一貫して「与小野大」のねじれ現象の下、政治の停滞を経験してきた台湾の有権者にとって、今回の立法委員選挙を経ても状況に変化がない場合、そのことがねじれ現象解消の欲求、すなわち国民党の総統選候補者、馬英九氏への投票誘因になるのかどうか注目される。

 国民党は現段階で、「73選挙区中44選挙区でリードしており、不分区と合わせて68議席が目標」としている。

 ただ、国民党も過半数には届かない恐れがあり、その場合、総統選挙で勝った側による立法院の勢力図再編が行われる可能性もある。

北藍南緑の弊害
 
 小選挙区制には少数の声を消す、死票が多く出る、という弊害が指摘されるが、台湾の場合、北部は泛藍、南部は泛緑と支持基盤がはっきり分かれており、台北市の8選挙区は全て国民党の候補者が当選、高雄市の5選挙区は全て民進党の候補者が当選という観測に現実味がある。 

 この場合、台湾は南北で青と緑にはっきりと分かれ、地域対立がより先鋭化する可能性がある。弊害が大きすぎるとして、今後見直しを求める声も出てきそうだ。