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UMCジャパン清算へ、「役割終えた」


ニュース 電子 作成日:2012年8月22日_記事番号:T00038954

UMCジャパン清算へ、「役割終えた」

 ファウンドリー大手、聯華電子(UMC)は21日、完全子会社、ユー・エム・シー・ジャパン(UMCJ、千葉県館山市)の事業を停止し、解散・清算することを董事会で決議した。これまで四半期当たり8億~10億円の損失計上に加え、世界景気の先行き不透明感と日本の顧客の需要減少が主な理由だ。日本の半導体産業が崩壊しつつある時期の撤退で、UMCは今後も日本大手数社から直接受注を得られるため、UMCJは役割を終えたと22日付工商時報は指摘した。

 UMCの劉啓東財務長は、特に昨年3月の東日本大震災の後、電力供給が安定せず、半導体業界の川上・川下メーカーが相次いで減産や工場閉鎖など縮小再編を行ったことで、UMCJの運営コストを抑制できず、業績が目標に届かなかったと説明した。今後は日本の需要に対し、台湾やシンガポールでの生産で応える。

 ある証券会社は、日本は人件費が高く、夏季の電力使用制限も相まって、円高が続く中でメーカーの海外移転が相次いでおり、内需も不振だと指摘。しかもUMCJが擁する8インチウエハー工場は12インチ工場に競争力が劣るため、UMCJの清算は投資リスクを減らす良い判断との見方を示した。

 台湾ファウンドリーによる海外工場処分は今回が初めてだ。ただ、UMCJの生産能力はUMCの5%、売上高の1%を占めるにすぎない。

稼働率、5割に届かず

 UMCJは、最終的な受注分をすべて生産し終えてから館山工場の操業を停止し、取締役会、株主総会で解散を決議して清算を結了する予定だ。館山工場の月産能力は2万枚で、主に日本メーカーを顧客としていたが、設備稼働率は長期にわたって50%を割り込んでいた。

 UMCJの資本金は8,100万円。6月30日時点の総資産は168億4,900万円、負債は27億7,400万円だった。上半期の売上高36億9,800万円に対し、純損失は15億9,300万円に上った。

 UMCJは、UMCが1998年に新日本製鐵から日鉄セミコンダクターの一部株式を取得して経営権を握り、01年に社名変更した会社だ。09年には株式公開買い付け(TOB)を実施して持ち株比率を100%まで引き上げ、ジャスダック市場の上場を廃止した。黒字転換し、純利益が120億円に達した00年がピークだった。

【表】