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対中投資、企業の意欲低下鮮明


ニュース その他分野 作成日:2012年8月28日_記事番号:T00039057

対中投資、企業の意欲低下鮮明

 中国に進出した台湾企業(台商)が、追加投資の意欲を低下させている。台湾区電機電子工業同業公会(電電公会、TEEMA)のアンケート調査によると、中国で投資、生産を拡大する計画があるという回答は3年連続で減少し、今年初めて5割を割り込んだ。製造業が主力の台商に、労働者不足、電力不足および経営コスト上昇が重荷となっていることの表れだ。投資環境悪化によって、「世界の工場」の地位が揺らいでいる実態が浮き彫りとなった。28日付工商時報などが報じた。

 電電公会が27日発表した「大陸(中国)地区の投資環境とリスク調査」によると、「中国で投資、生産を拡大する計画がある」と回答した台商は今年が49%で、11年は51%、10年53%と減り続けている。

 同様に、「台湾の業務を終了する計画がある」(10年9.5%、11年7.7%、12年6.6%)、「台湾の工場を閉鎖して営業だけを残す計画がある」(10年19%、11年15%、12年13%)がともに減少している一方、「台湾本社で生産、運営を続ける」は10年の37%を境に11年41%、12年44%と増え続けている。

薄利さえ出ず

 調査担当の呂鴻徳・中原大学企業管理研究所教授は、ここ数年続いている中国での用地、資金、電力、労働者不足問題に、賃金上昇(昨年平均22%)、人民元上昇(対米ドルで同5.1%)や、融資難、知的財産権トラブル、不透明な法制度など複数の要因が追い打ちをかけたと指摘した。労働コストや原材料価格が上がった結果、「薄利」が「利益なし」まで縮小し、台商は中国の投資環境を高く評価できなくなったとの見方だ。

 一方で、台湾にUターン投資をしたいという回答は08年の9.88%をピークに09年以降は5~6%台で推移し、12年も5.9%にすぎない。呂教授は、ナイキやアディダスの中国直営工場、スターバックスのマグカップ工場などが中国で製造するメリットがないと判断し、米国に生産を移転し始めていると指摘した。

方向転換で成長可能=電電公会

 電電公会は、中国の発展途上の地域で経済成長が著しい上、照明メーカーの真明麗控股(ネオ・ネオン・ホールディングス)、ノートパソコンメーカーの藍天電脳(クレボ)など、移転や販路開拓、新事業や新製品で成功した台商も少なくないと指摘。内需や新しい商機をつかんで第2の成長曲線を描いてほしいと締めくくった。

 同調査によると、中国の都市別の総合力ランキングでは、蘇州市昆山市(江蘇省)が4年連続で首位となった。2~5位は▽南京市江寧区(江蘇省)▽浜海新区(天津市)▽蘇州工業園区(江蘇省)▽杭州市蕭山区(浙江省)──で、上位10位の半数を江蘇省が占めた。

 同調査は電子電機、機械、従来型産業、サービス業など、中国の台湾企業2,652社から回答を得た。

【図】