ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

元太、韓ハイディスを93億元で買収


ニュース 電子 作成日:2007年11月22日_記事番号:T00003912

元太、韓ハイディスを93億元で買収

 
 中小型パネルの元太科技工業(PVI)は21日、韓国のBOEハイディス・テクノロジー社を買収することで、同社と覚書を交わしたと発表した。元太は、2,600億ウォン(約93億台湾元=約304億円)でハイディス社株約95%を取得し、来年第1四半期中に買収手続きを終える予定。これにより生産ライン3基を獲得し、生産能力で勝華科技(ウィンテック)、凌巨科技(ジャイアントプラス・テクノロジー)を抜いて一気に台湾最大の中小型パネルメーカーとなる。22日付経済日報が報じた。
 
T000039121

 
 ハイディス社は昨年9月、運営資金不足により韓国の裁判所に破産手続きの申請を行い、今年5月に再生計画が承認され、9月から株式の公開買い付け実施に向け手続きを行ってきた。元太の劉思誠董事長によると、10社が参加して行われた先週の競争入札で、香港の愛高集団(アルコ・ホールディングス)、精電国際(バリトロニクス・インターナショナル)とともに海外に設立した金融持ち株会社を通じ、落札に成功し経営権を獲得したという。

 同持ち株会社の出資比率は元太78%、愛高、精電が共に11%で、ハイディスは韓国での上場を望んでいる。覚書によると、ハイディスは今回の買収で得た2,600億ウォンを全債務の償却に充て、今後は債務ゼロの企業として生まれ変わることになる。今回の買収資金は半分を現金増資、半分を社債発行によって募集する計画で、来年1月に臨時株主総会を開き承認を得る予定。

世界でも3位内に

 今回の買収で元太は第2.5世代、第3世代、第3.5世代の生産ライン3基を獲得し、同ラインのガラス基板月産枚数はそれぞれ、1万6,000枚、1万4,000枚、6万7,000枚。2.5世代の生産能力に換算すれば約21万6,000枚で、これは元太が現在保有する生産能力の約4倍に当たる。これにより元太は勝華の22万枚、凌巨の8万枚を抜き台湾でトップ、世界でも3位以内の中小型TFTパネル供給メーカーとなる。持ち株会社に共同出資する愛高と精電は元太の顧客でもあり、生産ライン利用率の引き上げに役立つという。また、生産ラインの他に広角技術など1,000件に及ぶ特許も獲得する。

再来年に価格下落の懸念

 劉董事長は「パーフェクトなタイミングだ」と自賛し、元太の新しい時代が始まると宣言したが、外資系アナリストからは、来年もパネルの供給不足は続くと予想されるものの各メーカーとも現在生産能力を拡充しており、元太の生産能力が発揮されるころには、すでに供給量が大幅に増加している恐れがあるという予測も出ている。

 再来年は供給過剰によるパネル価格の下落が懸念されており、さらに台湾と韓国では企業文化が異なり工場管理は難しいこと、韓国の従業員の給与が台湾の1.5~2倍であることなど懸念材料は多く、元太の前途は安泰とは言えないと見ている。