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今年の成長率5.46%へ、外需依存には懸念も


ニュース その他分野 作成日:2007年11月23日_記事番号:T00003940

今年の成長率5.46%へ、外需依存には懸念も

  
 第3四半期の域内総生産(GDP)成長率が6.92%の高い数値を記録し、行政院主計処は23日、今年通年のGDP成長率の予測値を5.46%と、8月当時の予測値(4.58%)から0.88ポイントの大幅な上方修正を行った。高い数値は好調な輸出に支えられたものだが、内需の伸びが貧弱であることから、「バランスを欠いた脆弱な成長」という指摘も出ている。 
 
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 第3四半期の高成長率は、商品・サービス輸出の前年比増加率が11.13%と、当初予測の5.13%のほぼ2倍の数値を記録し、全体の数値を引き上げたことが最大の要因だ。

 好調な輸出が製造業をけん引し、製造業総生産額の前年比成長率は11.3%となった。民間投資も、半導体企業や中国鋼鉄の投資によって6.54%の高成長を記録。民間消費は3.51%の成長だった。

 第3四半期の特徴としては、金融保険業の総生産額成長率が12.5%と、近年で最も高くなったことが挙げられる。銀行業の総生産額成長率は6.1%を記録し、昨年のカード破産問題の悪影響からほぼ脱したことがうかがえる。

 主計処では、第3四半期の好パフォーマンスは今四半期も続き、通年の民間投資は初めて2兆台湾元(約6兆7,000億円)を超えると予想している。

 来年の見通しについては、原油価格の高騰や米国サブプライムローン問題の影響はあるものの、世界経済は依然安定的な状態を保つとして、GDP成長率4.53%の予想値を打ち出している。
 
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実感から著しく乖離

 今年通年のGDP成長率が5.46%になるという政府予測に対し、23日付経済日報、工商時報の2大経済紙はそろって、「庶民の実感からは乖離(かいり)した数値」という論調で批判した。

 経済日報によると、第3四半期の成長率が6.92%に達した一方、民間消費成長率が3.51%にとどまったのは、所得分配の悪化によって消費が振るわなくなった構造的結果だ。また、輸出成長率(11.13%)と内需成長率の大きな落差については、台湾経済の成長構造が、ますますバランスを失っている証拠だとした。

 工商時報も「第3四半期の成長はまさに輸出頼みで、こうした成長構造は実は非常に脆弱だ」という懸念を紹介し、内需とのバランス差を埋める必要があると指摘した。
 
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