ニュース 政治 作成日:2012年9月17日_記事番号:T00039416
中国・国務院台湾事務弁公室(国台弁)の王毅主任は16日、尖閣問題で中国と台湾の「共闘」を正式に呼び掛けた。台湾政府が応じる可能性はないが、日本政府による尖閣国有化は中台間で「領土を奪われた」との共通認識を持たせる契機になった恐れがあり、今後民間での連携が活発化したり、日台離間など中国が政治的手段として利用する可能性が出てきそうだ。17日付工商時報などが報じた。
北京の日本大使館前での抗議デモに青天白日満地紅旗が現れたのは一瞬で、ほどなく降ろされた(15日=中央社)
王主任は「両岸(中台)は永遠に血と命でつながる家族だ。互いの間にいかなる矛盾が存在しようとも、民族全体の根本利益を守るため、両岸同胞は力を合わせて外部に対抗しよう」と訴えた。中国高官が台湾に対し、尖閣問題での共闘を呼び掛けたのは初めてだ。
これに先立つ15日、北京と重慶での尖閣抗議デモで、中華民国国旗である青天白日満地紅旗が登場した。1949年の共産党政権発足以来初めてのことで、中国側が台湾と共同で尖閣問題に対応したい意向を示したものとの見方が出ていた。政治大学国家発展研究所の趙建民教授は、「中国は南シナ海と尖閣の主権争いでいずれも孤立しており、両岸共同で当たりたいと考えるのは当然だ」と指摘した。
王主任の呼び掛けに対し、台湾の行政院大陸委員会(陸委会)はまだ反応を示していない。馬英九総統や頼幸媛・陸委会主任委員はこれまでに、中国との共闘を否定する発言を行っている。そうした場合、台湾防衛に責任を持つ日米安保同盟体制に挑戦することになってしまうためで、台湾としてはあり得ない選択だ。
ただ、中国と台湾の両政府は「尖閣は日本によって占拠されている」との認識で一致しており、日本の尖閣国有化に対し40数年間続いてきた『現状』を改変したと受け止めている。尖閣の主権をめぐる一連の事態で、中台が共通認識を持つ土台ができたことは確かだ。
台北市でも大型デモ計画
こうした中、台北市でも23日、尖閣の主権を主張する活動家らが大型デモを計画している。国父紀念館から交流協会台北事務所に向かうルートで、侵略行為をやめ、台湾に謝罪を求める抗議文を交流協会側に手渡す予定だ。台湾ではこれまで抗議活動は一部にとどまっており、どの程度の参加者が集まるのか注目される。尖閣問題での中台対話を呼び掛けている統一派政党、新党はワイズニュースの取材に対し、「恐らく参加する」と回答した。
なお、デモ発起人の活動家、林孝信氏は、デモの目的は日本軍国主義の復活に反対すること、および中華民国の主権保護で、日本の一般民衆を敵視する考えはないと強調した。
日本製品排斥の訴えでは、台湾系食品メーカー、康師傅を日本メーカーと勘違いしている一幕も見られた(15日=中央社)
観光先を台湾に変更
尖閣争議の台湾経済への影響については、日本旅行を取りやめて行き先を台湾に変更する中国人観光客が増える結果、中国の国慶節(10月1日)連休の訪台者は少なくとも延べ4万人に上り、3億3,500万台湾元(約9億円)の観光収入が得られるとの予測が業界から出ている。
電子業界は現段階では影響が出ないものの、日中対立が悪化して武力衝突に至った場合、受動部品やフレキシブルプリント基板、液晶パネル部品などで、台湾メーカーに日本メーカーからの受注振替効果が期待できるとの指摘が張智超・大衆証券副総経理より出ている。
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