昨年、従業員の昇給を実施しなかった企業が域内企業全体の77%に上ったことが、行政院主計処が26日発表した統計調査で明らかになった。昇給の未実施率が8割近くに上ったのは5年連続。また、サービス業の3分の2、製造業の約半分で、従業員の給料が前年比マイナスになったことが分かった。27日付中国時報が報じた。
昇給を行わなかった企業の比率が最も高かったのは鉱業の95%。次いでサービス業85%、医療保健サービス業で83%となる。
昇給を行わない傾向は今年も続いており、人材サービスの104人力銀行のアンケート調査によると、今年昇給を行うと回答した企業はわずか2割で、「業績で決定する」が4割に上った。
物価上昇で相殺
昨年の工業・サービス業の従業員の平均月給(経常性給与・残業手当、ボーナスなど非経常性給与を含む)は4万4,107台湾元(約14万7,300円)で、前年比1.1%増加した。このうち製造部門は4万2,293元で1.3%増、サービス部門は4万5,584元で0.8%増だった。しかし、物価上昇率を勘案すれば、事実上給与は増加していないと言える。
不動産が減少率ワースト1位
台湾産業界の生産額の約7割を支えているサービス業は、3分の2の企業で給与が前年比で減っている。減少率が最も大きいのが不動産・リース業でマイナス2.3%。運輸倉庫・通信業はマイナス0.9%、就業者が135万人と最も多い卸売り・小売り業はマイナス0.01%だった。サービス業に従事する労働者は月給が2万~3万元程度の者も多いという。
製造業は、印刷およびその補助業がマイナス3.6%の平均月給3万6,000元と低い水準になった。
金融は昇給傾向鮮明
これに対し、給与上昇が最も鮮明だったのは金融保険業で、財テクブームを背景に68%の企業が昇給を実施。昇給率は6.2%に上った。
昇給した企業が多かったのは次いで水力・電力・エネルギー業で40%、科学・技術サービス業で26%、製造業で25%となる。
給与の上昇率では、化学材料製造業が4.2%で平均月給6万4,548元、コンピュータ・通信およびAV電子産業が3.8%で平均月給は5万元、などだった
104人力銀行の方光イ公関総経理(イはおうへんに韋)は、「内需不振のため、営業や研究開発(R&D)など業績と連動した業務か、知識集約型の業務でなければ昇給は困難になっている」と指摘する。
輸出業のみが恩恵?
なお、昨年の新規就業者で工業部門に就業した者は全体の38%で前年比5%増、サービス部門に就業した者は62%で前年比で5%減少した。中国時報はこうした現象について、「サービス業の比率が高くなる、先進国の逆を行く現象」と指摘している。
域内企業の給与動向については、「政府は為替と金利のダブル安によって経済成長率の高い数字を維持しており、輸出関連企業のみが恩恵を受ける結果になっている。内需が顧みられないため、大部分の者が低賃金、給与凍結を余儀なくされている」と批判した。