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今年の成長率1%、下方修正9度目


ニュース その他分野 作成日:2012年11月1日_記事番号:T00040244

今年の成長率1%、下方修正9度目

 行政院主計総処は31日、今年通年の域内総生産(GDP)成長率予測値を1.05%へと引き下げた。同予測の下方修正は通算9度目で、前回8月時点の予測値1.66%からは0.61ポイントの下げ幅となった。経済成長率の65%を支える輸出の不振が個人消費にも悪影響を与えているためで、主計総処は「台湾は『貧血症の成長』に陥っている」と警鐘を鳴らした。1日付経済日報などが報じた。

 主計総処は今年第4四半期の経済成長率予測値も8月時点の4.23%から2.83%と大きく下方修正した。来年の成長率は3.09%へと引き下げた。

外需・内需共倒れ

 不調が続く輸出は、通年成長率をマイナス1.72%からマイナス2.5%に下方修正した。高志祥・主計総処予測科長は、9月は輸出額が2けた成長して270億米ドルに達したものの、比較対象の前年は、台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサ分解プラント(雲林県麦寮郷、通称六軽)で火災や爆発事故があった影響で数値が低かったにすぎず、特別高いわけではないと説明した。そして、年末の在庫調整期に当たる第4四半期は、多くのハイテク産業で輸出が落ち込むため成長率を押し上げられないとの見方を示した。

 内需も冷え込んでいる。第3四半期の民間消費成長率はわずか0.37%と過去3年で最も低くなった。労働市場の落ち込みや、物価上昇、株式市場の不振が響いたためで、特に株式取引額は前期比35.57%減と大幅に縮小した。

政府は強気アピール

 今年の通年成長率予測値はかろうじて1%を保つ水準まで修正されたが、陳冲行政院長は「政府は成長率を引き上げる要素1つ1つを着実に実行するのみだ」と語り、「現在進めている投資促進策は半年以内に効果が現れ、景気は全く異なる局面を迎える」との強気の見方を示した。その上で、国際通貨基金(IMF)の最新予測で台湾の来年の経済成長率予測値が3.9%とアジア各国・地域の中で上位に位置していることを挙げ、われわれは自信を持つべきだと訴えた。

 馬英九総統は、同日発表された海外に進出した台湾企業のUターン投資に支援を行う「加強推動台商回台投資方案」について、「支援は2年間のため早く戻って投資してほしい」と呼び掛けた。外資系企業についても地域本部設置を誘致し、2015年までに300社を目標にしている。政府は投資を成長率引き上げの要として注力する考えだ。

「マイナス転落も」

 一方、台湾大学経済系の林向愷教授は、今年1月の総統選挙の際、馬政権は有権者を安心させるために景気に対し過度に楽観的な見方をアピールしていたが、実際には世界景気は回復が見込めず、内需回復策も効果が上がっていないことが相次ぐ下方修正の原因だと指摘。通年の経済成長率は、マイナスに転じる可能性もあると厳しい見方を示した。

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