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医薬業界、厚生労働省と提携へ


ニュース 医薬 作成日:2012年11月8日_記事番号:T00040366

医薬業界、厚生労働省と提携へ

 行政院衛生署食品薬物管理局(TFDA)の康照洲局長は7日、年内に日本の厚生労働省と提携協定を結ぶことを明らかにした。まずは医薬品および工場の認証を主とし、来年には医療機材まで範囲を拡大する予定だ。従来製薬業界では、台湾メーカーが日本メーカーの受託生産を請け負う関係が中心だったが、今後は台湾メーカーの医薬品を日本が輸入する形が広がり、1,000億台湾元(約2,700億円)もの商機がもたらされる見通しだ。8日付工商時報が報じた。

 日本は高齢化の進行に伴い医療費が年々増加の一途をたどっており、政府は医療制度改革を進めている。その一環として薬価の安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及を推進しており、2012年度までに数量シェアを30%以上(11年度は23.3%)に引き上げ、患者負担の軽減、医療保険財政の改善を図りたい考えで、台湾では受託生産の実績を持つ南光化学製薬、中国化学製薬(CCPC)、杏輝薬品工業(シンファー・ファーマシューティカル)など製薬業者少なくとも17社がすでに厚生労働省の実施審査を受けている。

日本進出が加速

 台湾メーカーは最近日本市場の開拓を進めており、杏輝薬品は建設中の抗がん剤第2工場の生産能力の半分が大東製薬工業向けだ。CCPCの中国子会社、蘇州中化薬品工業(SCCPC)とバイオ医薬品メーカーの台湾微脂体(タイワン・リポサム、TLC)は日本の調剤薬局チェーン大手の日本調剤に製品を供給、生達化学製薬(スタンダード・ケム&ファーム)は日本メーカーと提携して米国での高脂血症薬の認可取得を目指しており、日台提携はこうした動きを加速させるとみられる。

 また、日本で需要が高いホルモン、抗生物質、抗がん剤薬などアレルギーを引き起こしやすい医薬品は交叉汚染しやすいため、独立工場を準備し、医薬品GMP(適正製造規範)作成などの国際組織「PIC/S(医薬品査定協定および医薬品査察共同スキーム)」の認証を受ける必要がある。このためすでに認証取得済みの製薬メーカーは商機獲得のチャンスとみられる。

友華正技とナノキャリアは工場建設

 友華生技医薬(オリエント・ユーロファーマ)は7日、がん分野に特化した創薬ベンチャー、ナノキャリア(本社・千葉県柏市、中冨一郎社長)と、膵臓(すいぞう)がん新薬「ナノプラチン」の製造工場を雲林県虎尾に新設する契約を交わした。13年着工、16年の完成予定でナノキャリアにとって初の生産工場となる。総投資額は7億元に上り、そのうち友華生技が6億元以上を出資し、ナノキャリアは技術を提供するもようだ。

 友華生技の蔡正弘董事長は、同工場が完成すれば50人以上の修士・博士の学位を持つ人材の就業機会を創出し、初年度の売上高は5億米ドルが見込めると述べた。


握手を交わすナノキャリアの中冨一郎社長(左)と友華生技の蔡正弘董事長(右)。ナノプラチンは台湾で世界初の発売が予定されている(7日=中央社)

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