ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

鴻海、大型テレビ革命宣言


ニュース 家電 作成日:2012年11月9日_記事番号:T00040392

鴻海、大型テレビ革命宣言

 鴻海科技集団(フォックスコン)製の家庭用60インチ高画質液晶テレビが11日、中華電信などとの2年以上の通信契約で市価の半値以下の3万8,800台湾元(約10万円)で発売される。サイズや通信契約の縛りが消費者ニーズに合致しないとの懸念が聞かれる一方、堺ディスプレイプロダクト(SDP)の液晶パネルを採用して一貫生産し、設置、アフターサービスまで鴻海集団が手掛ける新たな販売モデルが、台湾の家庭に「大型テレビ時代」をもたらす可能性もある。9日付蘋果日報などが報じた。


鴻海集団の戴正呉副総裁(左3)ら。まず最終製品で市場を開拓し、部品の垂直統合による価格競争力でライバルをけ散らすサムスン電子の成功モデルをまねたとの声もある(8日=中央社)

 鴻海製の60インチ液晶テレビ購入は、中華電信の光ファイバーインターネット接続サービス「光世代」(月額料金799元の4M以上)とマルチメディア・オンデマンド(MOD)サービス(同359元、3カ月は半額)の2年契約が必要で、合計6万6,000元からの計算だ。凱擘大寬頻(kbro)の光インターネット(同768元の6M以上)とスーパーMOD(同299元)の2年契約なども対象だ。中華電信は販売目標に上限なしと表明、凱擘は年内に5,000台、今後2〜3年で2万台を目指す。

 凱擘の許芝蘭商務長は、昨年の台湾でのテレビ販売台数は120万台で、うち46インチ(4万〜5万元)以上の大型機種は10%にすぎないが、鴻海製60インチテレビの登場で来年は同25〜30%に拡大し、36万台もあり得ると語った。販売店によると、60インチ機種の市価は現在9万〜12万元程度。

 観測では、通信契約なしで本体のみの購入は5万8,800元で、鴻海集団の3C(コンピューター、通信、家電)製品販売店、賽博数碼広場(サイバーマート)で12月下旬に発売になるとみられているが、正式には発表されてない。

ノーブランドを強調

 鴻海集団の戴正呉副総裁は、同テレビのナンバー1として、▽EMS(電子機器受託生産サービス)世界最大手の鴻海集団▽通信キャリア台湾最大手の中華電信▽世界最高のSDP第10世代パネル工場で製造の液晶パネル▽初めての試みの製品価格と販売モデル──の4点を掲げ、台湾の家庭のテレビ視聴スタイルを変え、将来は70、80インチ、はたまた130インチのテレビを発売すると抱負を述べた。なお、奇美電子(チーメイ・イノルックス)は60インチ以上のパネルを手掛けないため、同社への影響はないと付け加えた。

 低価格を実現できた理由として、▽SDPの液晶パネルを輸送して台湾で製造(年産計画30万台)▽専売店での販売で通常掛かる20%のコストが不要──を挙げた。同時に、このテレビには提携パートナーの中華電信か凱擘の社名シールが貼られるだけで、鴻海集団はブランドを手掛けないと強調した。

消費者の評価分かれる

 消費者からは「家庭のリビングが映画館になる。お買い得だ」、「通信契約が必要なのは面倒だし、結局は高く付く」などの声が聞かれ、評価が分かれた。

 台北市電器商業同業公会(TECA)の李松霖理事長は、60インチテレビの場合、3メートル以上離れなければ、映画館の前列3列目までに座っているような圧迫感があると注意を呼び掛けた。業界関係者は、消費者は売り場でまず大型テレビを見に行くが、結局は家庭のスペースを考えて50インチ以下を購入すると指摘した。

 家電量販店、燦坤3Cは9日から、ビジオの55インチスマートテレビを2万9,999元(通常4万5,000元)など、通信契約不要をアピールして販促を行う。全国電子(e−ライフモール)は40〜50インチを主力としつつ、3万元以下の50インチ機種を打ち出す。 

【表】