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80年前の最先端百貨店、年内に復元・公開へ


ニュース 社会 作成日:2012年11月15日_記事番号:T00040472

80年前の最先端百貨店、年内に復元・公開へ

  日本統治時代の1932年に西洋風百貨店として開業した「林百貨店」ビルの修復工事が間もなく完了し、年内に一般公開される予定で、80年前の百貨店の様子を体験できるようになる。


屋上に残る鳥居。台南市の林欽栄副市長(右)は、「このような貴重な文化遺産が台南市に現存することを誇りに思う」と語った(台南市リリースより)

 林百貨店は山口県出身の日本人経営者、林方一氏が開業したもので、台北の「菊元百貨」、高雄の「吉井百貨」と並び「台湾3大百貨店」と称された。しかし、菊元百貨、吉井百貨とも現在、その建物は取り壊されており、林百貨のみが現存して台湾百貨店史の「生き証人」となっている。

 同百貨店は45年の終戦を受けて閉店し、その後空軍および警官の派出所や製塩大手の台塩実業の工場として使用されたが、台塩が移転してからは放置され、さびれていった。ちなみにビルの屋上には神社が設置されているほか、開業の数日後に亡くなった経営者の林氏は、ビル内で自殺したとの説もあることから「お化け屋敷」といううわさも立った。

 しかしその後、同ビルは台南市によって古跡に指定され、3年ほど前からは7,000万台湾元を投じた修復工事が進められており、完成間近となった14日に初めて内部の様子がメディアに公開された。

 同店の面積は現在の百貨店とは比べようもないが、▽1階、化粧品・旅行会社カウンター▽2階、雨傘・革製トランクなど西洋品▽3階、服飾品▽4階、家具・おもちゃ・文具、5階、レストラン──と、各フロアの売り場構成はほとんど同じだった。

 また当時は珍しい5階建てで、しかも台南で唯一近代的エレベーターを備えていたことから、多くの人がエレベーターに乗るためだけに同百貨店を訪れたという。

 なお修復に当たっている建設業者によると、林百貨は西洋風の鉄筋建築だが、日本人技師・梅沢捨次郎氏によって設計されたため和風の雰囲気も備えており、修復工事は柱の細かな装飾も含め、当時の姿を完全に復元する方針だ。