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公共投資4兆元、馬英九候補が公約


ニュース 政治 作成日:2007年11月30日_記事番号:T00004071

公共投資4兆元、馬英九候補が公約

 
 経済再生を最大公約に掲げる国民党の正副総統候補、馬英九氏(同党前主席)と蕭万長氏(同党副主席)は29日、大型公共投資12項目に8年間で3兆9,900台湾元(約13兆5,500億円)を投じる政見を発表した。増税や新規起債は行わず、通常予算で実施するという。30日付工商時報は、「大型公共工事で景気浮揚を図ろうという発想はすでに時代遅れ」と批判的に報じた。
 
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経済政見を発表する馬英九候補。中国との直航の積極的推進を改めて表明し、主催の米国商会などから称賛を受けた(29日=中央社)
 
 12項目の建設は、「交通」「文化・レジャー」「空港・港湾」「産業」「治水」の6分野で、このうち交通網の利便性向上に全体の36.3%に当たる1兆4,523億元を投じる。主な項目では、IT(情報技術)化推進の「インテリジェント台湾」に2,250億元、農林再生に1,500億元、「産業イノベーションコリドー」に1,150億元など。
  
 この公約について、国民党陣営で「経済総設計士」と称される蕭候補は、「米国の景気が下落に向かい、原材料や原油価格が高止まりしている状況の下、台湾は内需拡大に努めてこそ成長率下落を阻止できる」と意図を説明した。
  
 注目の財源について蕭候補は、「3兆9,900億元のうち、政府支出は2兆6,500億元、民間投資が1兆3,400億元」と説明した上で、「政府の予算規模が2.68%の成長率を維持すれば、歳入の成長率は5.7%の達成が見込める。両岸(中台)関係の改善、および政府による厳格な管理実施で支出は増えない。起債は必要ないばかりか、2,000億~4,000億元の余裕すら生まれる」と、通常予算の範囲内でまかなえると力説した。
 
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「正しい政策立案」求める
 
 工商時報は、馬候補の建設公約と民進党の謝長廷候補の「幸福経済」の政見も合わせて、「時代遅れのケインズ理論であり、蒋経国総統が十大建設を進めた1970年代には有効だっただろうが、21世紀になった08年から16年までの間も果たして有効だろうか」と、「大きな政府」による公共投資中心主義に疑問を投げ掛けた。

 その上で、「台湾の経済構造はすでに以前と大きく違っており、にもかかわらず過去と同様の手法で対応しようとすれば、短期的には一定の効果があるかもしれないが、長期的には市場メカニズムをねじ曲げて産業構造を調整する機会を失い、経済の正常な成長を不可能させる」と警鐘を鳴らした。

 そして、政府の役割は「正しい政策立案」にあるとして、台湾と中国の経済関係が密接化する一方の状況の下、中国市場の重要性を十分認識した経済政策の推進や、複雑な法規および行政プロセスの簡素化、企業の経済活動自由化、公平な税負担などを実現すれば、市場は自然と上向くだろうと主張した。

 なお、馬氏はこれまで経済公約として、▽毎年の経済成長率6%▽1人当たりGNPを3年以内(2010年)に2万米ドルに、16年までに3万米ドルを達成▽失業率を4年以内に3%以下に抑制▽富裕層上位20%と貧困層下位20%の所得格差を6倍以内に縮小──など成長重視の目標を打ち出している。
 
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