ニュース その他分野 作成日:2012年12月6日_記事番号:T00040875
新卒初任給の低下が問題視される中、新社会人の29%は2万台湾元(約5万7,000円)以下に甘んじている実態が求人求職情報サイト大手、1111人力銀行の調査で明らかになった。台湾ではここ数年「2万2,000元(22K)」が最低標準と考えられていたが、実際にはそれをも下回る、法定最低賃金(1万8,780元)に近い水準で働く若者が多いことが分かり改めて社会に衝撃を与えている。6日付蘋果日報などが報じた。
先日、文系では最難関の台湾大学法学系の卒業生が法律事務所のアシスタント職に応募した際、初任給は「22K」だと告げられ「侮辱された気持ちになった」と語ったことが話題になった。
実は「22K」という数字が心理的抵抗線になったのは理由がある。世界金融危機後の2009年4月、政府は大学・専科学校生の厳しい就業状況の対策として、学生向けの職場実習(インターンシップ)を推進、企業に対し実習生1人当たり1万元の補助金を支給した上で、少なくとも「22K」の月給を保障するよう呼び掛けた。この結果「22Kが底値」という認識が広がり、新卒初任給の低下に一役買ったと指摘されている。労働団体、台湾労工陣線の孫友聯秘書長は、「22K政策」が若者の貧困化を招いたと批判した。
1111人力銀行によると、12年の新社会人の平均初任給は2万4,982元で、08年の2万5,726元から2.9%低下した。なお、全体の63.12%が2万5,000元以下という状況だ。
給料=最低賃金、親に支援仰ぐ
こうした給料で働く若者からは、「スマートフォンは2カ月飲まず食わずの生活をしなければ買えない」などの悲痛な声が上がっている。
台北市の大学を卒業し、台中市の学校で契約職員として働いているある新社会人の月給は最低賃金と同額の1万8,780元。毎月5,000元を学費の返済に充てており、残金も交通費や食費であっという間に使い切ってしまう。中国語で俗に言う「月光族」で、時には月給だけでは足りず、両親から小遣いをもらうこともあるという。
仕事のえり好みにも問題
ただ、新社会人が職をえり好みしている状況も指摘されている。例えば飲食業の初任給は「22K」を上回るが、働き手が足りない状況だ。1111人力銀行の張旭嵐広報担当は、企業が学歴を重視しない傾向を強めている反面、新社会人は「高学歴ならば単純な仕事をすべきでない」という固定観念があり、なかなか仕事が決まらないと語った。今年度の場合、就職が決まるまでの期間は平均64日で、4年前より25日も長くなっている。
なお、仕事が決まった新社会人も、▽仕事内容が思っていたものと違う▽昇給機会が少ない▽給与・福利厚生に不満──などの理由で既に31%が離職、半年内に2回以上の転職を経験した者は7.8%に上った。
同調査は11月19日~12月3日に新社会人(今年大学・専科学校を卒業または兵役終了した者)を対象に行い、564人から回答を得た。
【図】
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