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景気U字回復、中銀総裁が来年に期待感


ニュース その他分野 作成日:2012年12月13日_記事番号:T00041007

景気U字回復、中銀総裁が来年に期待感

 中央銀行の彭淮南総裁は12日、来年の台湾の景気見通しについて「域内総生産(GDP)成長率3%以上を遂げU字回復が見込める」との見通しを明らかにした。金融危機からの反転で10.76%のV字回復を遂げた2010年には及ばないが、来年の回復力は小さくないとの見方だ。世界経済の好転に伴う輸出改善を見込み、台湾の主要シンクタンクは軒並み3.3%以上のGDP成長率を予測している。13日付工商時報などが報じた。


立法院で報告を行う彭総裁。最近は輸出のプラス成長転換や、企業の求人意欲の高まりなど、景気回復の兆しが少しずつみられている(12日=中央社)

 景気回復のパターンは、▽1年以内に急速な回復を遂げる「V字回復」▽2~5年で段階的に回復する「U字回復」▽5年以上の長期低迷が続く「L字回復」──がある。

米中の経済回復が鍵

 彭総裁は一方、世界経済が直面する3つの課題として、▽欧州債務危機▽米国の財政の壁(米国の緊縮財政)▽中国の経済成長──を挙げた。このうち欧州債務危機については短期間での解決は難しいとの見方を示したものの、米国の財政問題は政治家の知恵で必ず解決でき、危機を脱すれば台湾経済にプラスに働くと指摘した。ただ、解決できない場合は台湾のみならず世界への影響は大きいと懸念を示した。

 中国経済については台湾経済に最も影響を与えるとの認識を示した。従来外需に依存していた中国は内需拡大への転換を図っており、産業高度化に伴って台湾からの原材料調達が減少し、サプライチェーンが断絶する恐れもあるとして、中台が今後どのような産業協力を行っていくかが重要な課題だと指摘した。

「最高で4.15%成長も」

 来年の経済成長率予測値について行政院主計総処は11月下旬に3.15%と発表したが、主要シンクタンクなどはおおむね主計総処の予測を上回る数値を提示している。

 中華経済研究院(中経院)は12日、予測値を3.6%と10月中旬の3.59%から0.01ポイント上方修正した。梁啓源中経院董事長は、「最悪期は9月に過ぎた」と指摘。台湾の輸出はIC産業の割合が高く、世界景気の回復に伴い緊急受注が増えれば経済成長率をさらに押し上げるとの見方を示した。

 国泰金融控股と台湾大学の産学提携チームは12日、3.88%の予測を発表した。台湾は輸出が拡大、政府の経済振興策によって台湾企業のUターン投資が増えれば失業率が改善され、最高で4.15%の成長も見込めるとした。

 台湾大学経済系の林向愷教授は、来年は米国と中国の経済が回復するとの見方が強いが、世界全体として経済は疲弊しており、もし輸出が伸び悩めば楽観視はできないとの厳しい見方を示し、「U字回復といっても、底は長く大幅回復には時間がかかる」との見解を示した。

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