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12年輸出額2.3%減、今年は回復へ


ニュース その他分野 作成日:2013年1月8日_記事番号:T00041495

12年輸出額2.3%減、今年は回復へ

 財政部が7日発表した貿易統計によると、2012年の輸出総額は3,011億1,000万米ドルと過去最高だった前年から2.3%のマイナス成長で、過去2番目に高い値となった。輸出総額の前年比減は統計開始以来で5度目。アップルやサムスン電子の攻勢を受け携帯電話が4割以上減少したことが足を引っ張った。しかし、輸出総額は四半期ごとに順調な回復をみせていることから台湾経済はすでに谷底を脱したとみられ、今年はプラス成長を回復する見通しだ。大企業のトップらからは、景気に対し楽観的な見方が示されている。8日付経済日報などが報じた。

 葉満足財政部統計長によると、昨年の輸出総額の減少幅は近隣のアジア諸国・地域の中でも最も大きく、台湾が過去にマイナス成長に転じたのは第2次オイルショック時の75年(5.8%減)および82年(1.7%減)、ITバブルのはじけた01年(16.9%減)、金融危機の影響を受けた09年(20.3%減)と昨年の5度しかない。

携帯4割減、部品5割増

 昨年マイナス成長に陥った原因は、台湾の輸出を支える情報通信製品が前年比21.9%減の154億8,000万米ドルと落ち込んだことが挙げられる。特に携帯電話が42.8%減の45億4,000万米ドルだったことが大きい。一方で、携帯電話や固定電話の関連部品は52%増の10億3,000万米ドルと大きく成長し、台湾サプライチェーンの競争力の強さを見せた。ただ、部品輸出は台湾の輸出全体に貢献するものの、アップルやサムスンなどの海外ブランド携帯の販売を支えることで、台湾携帯ブランドに打撃を与える皮肉な状況に陥っているとの指摘もある。

Q4は回復の兆し

 同時に発表された12月の輸出総額は、前月比4.9%増、前年同月比9%増の261億米ドルと予想外の成長をみせた。葉統計長は、2月の春節(旧正月)に向けて調達を増やしている中国・香港向けの輸出が前年同月比10%増の104億8,000万米ドルだったことが大きく貢献したと説明した。

 第4四半期は、前年同期比2.5%増と3四半期連続のマイナス成長からプラス成長に転じた。情報通信製品は10月以降3カ月連続で輸出額を伸ばし、12月には14億2,000万米ドルと13カ月ぶりに前年比でプラス成長となるなど、回復の兆しを見せている。

企業トップも楽観視

 輸出の好転を受けて企業トップからは今年の景気を楽観視する見方が相次いで出ている。国泰金融控股の蔡宏図董事長は7日、今年の台湾経済について「徐々に良くなる」と話し、傘下の国泰人寿保険は台湾株式の購入を引き続き増やすとの考えを明らかにした。

 パソコン大手、宏碁(エイサー)の創業者、施振栄氏は「ゆっくりと良くなる」とし、悪化することはないとの見方を示した。台湾企業は柔軟性があり、不景気を脱するのは早く、一度回復すれば成長力は目を見張るものがあると指摘。台湾にとって景気の循環は悪いことではないと述べた。

 遠東集団(ファーイースタン・グループ)の徐旭東董事長は、「今年は昨年より良くなる」とし、台湾景気復活には産業構造の転換が必要でクラウドコンピューティングが鍵となるとの見方を示した。

【図】